fc2ブログ

「長期休暇」-1/3

夢の中で俺は、二十歳ぐらい。いや、正しくは19歳の青年になっていた。

19歳になり学校も卒業していながら、まともに就職もせず、

進学するわけでもしようともせず、

しかしながら親に遊んでいる事がばれてはまずいので、

毎日どこかに出かけて時間をつぶしていた。

どこかにと言ったが、夢の中なのではっきりしないだけで、

実はちゃんと目的を持って出かけて、職についているわけではないが、

かなりのお金を手に入れていた。

ところがある日、市内で凶悪な犯罪が多発し、

捜査対象年齢の全ての人間のアリバイ調査が行われ始めた。

自分にやましい事のない俺は、いつものように堂々と家を出て、

幹線道路沿いの歩道をバス停に向って歩いていたのだが、

途中で若い女性刑事に呼び止められた。

「あなた、ちょっと時間ありますか。どちらにお出かけですか」

夢の中だから、当然相手が刑事だと自己紹介などされなくても分かる。

無視してそのまま歩き去ろうかとも思ったが、変に逃げて変な疑いをもたれては、

後々面倒だと考え、一応立ち止まり返事を返した。

「何でしょうか、急いでいるのですが、歩きながらでいいですか」

相手はちょっと考えてから、言った。

「そんなに急いでどちらにお出かけですか」

そうか、行き先を言わねばならないのか、

しかし、行き先を言っても理解されないだろう。

相手に分かるように説明するためには、

丁寧に順序だてて話す必要がありそうだ。

仕方なく立ち止まると、「ちょっと説明するには時間が必要ですが、

今説明しないと駄目ですか」と聞き返した。

「お願いします」と一言で返され、説明せざる終えない感じになる。

「それでは、どこか落ち着いて話の出来る場所で」

「では、そこのファミレスでいいですか」

「はい」

女性刑事のすぐ後ろには、がっしりとした体格の若い男性刑事が付き添っていた。

3人でファミレスの店内に落ち着くと、俺は刑事に促されて話し始める。

「実は今一般的な言い方をすれば無職のニートという事になるんですが、

両親が心配するので一応働いているという事にしています。」

「なるほど、それで」

「ちょっと回りくどい言い方をしましたが、要するに起業に向けて準備中で、

就職はしていませんが、仕事をしていないわけじゃなくて、

でもお金を稼いではいないので、

一般的には働いているといえるかどうかという立場なもので」

「ほう、なるほど、起業というと何をしようとしているんですか」

若い男の刑事が横から口を挟む。

女性刑事も少しいやな顔をするが、黙っているので、話を続ける。

「起業の内容は、それこそ企業秘密ですから言えませんが、

起業するからには犯罪ではありません」

「犯罪でなければ言えるだろう」若い男の刑事が怒鳴り気味に言い放つ。

こちらもかっとなるが、冷静に

「企業秘密を話せるわけが無いでしょう」

とできるだけゆっくりと言う。

フリーエリア
カレンダー
07 | 2009/08 | 09
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
リンク
最新記事
カテゴリ
最新コメント
検索フォーム
QRコード
QRコード