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「コピーマシン」-1 

ユウスケの心は、最近いつも寂しさを感じていた。

年齢的にも1人でいると寂しくて仕方の無い歳だから、

冬休みで友人がみな帰省してしまい、

都会の1人暮らしで取り残された感が強く、

バイトなどほったらかして自分も実家に帰るべきだったと感じる毎日だった。

バイトをしていればバイト仲間などがいそうに思われるけれど、

バイトにも孤独な仕事というものはある。

ユウスケのバイト先は、大手警備会社で大勢の人が所属してはいる。

けれども配属先は、ビルの警備の仕事で、しかも改装準備でもぬけの殻。

さらに、年明けに工事に掛かるまで、

誰かが侵入してあらされることの無いように、

念のための警備で大きな建物だけれども担当するのは1人きりだから、

この上なく寂しい職場であった。

警備するビルには、今は入居者が誰も居なくても、

元々管理人室があり、今も警備員が寝泊りするための設備として、

そのまま使用することが出来るので、ただの空きビルの警備よりはマシだった。

冬休みに入って6日目、今夜はクリスマスイブだけれども、

仕事以外の予定はなく、その事が寂しさを一層かきたてる。

クリスマスイブだから、年配で家族の居る警備員は夜の勤務から外されて、

独身で予定のなさそうな者が、割り当てられる傾向にあり、

ユウスケは独身で予定のなさそうな者の条件に一致したらしく、

イブの夜間の警備に割り当てられた。

夜間の警備の場合、夜11時の見回りの後は、

本部への連絡の後管理人室で朝まで仮眠するだけなので、

時間の割りに体力的には楽な仕事と言える。

夕方5時に、昼間の担当者から引き継いだ後、

最初の見回りを行い、3時間後の8時とさらに3時間後の11時に見回りを行う。

一時的とは言え空きビル状態なのだけれど、

一応センサー機器を使った防犯機器は稼動しているので、

警備員はあくまで念のためと言う事だ。

空きビル状態だから、危険を冒して入り込んでも、

盗むようなものは何も無く、ハイリスク・ノーリターンなのだから、

侵入者などありえない。

だから、警備員が恐れるとしたら、人ならざる者と言う事になる。

そして、ユウスケには心の寂しさが最も恐ろしいものだった。

寂しさの何が恐ろしいのかと思われるかもしれないが、

過去に寂しさは多くの人間を自殺に追い込んでいる事実を知れば、

その恐ろしさは十分理解できるだろう。

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