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「スパイ」-2

自宅の最寄り駅の近くの喫茶店で待ち合わせして、

奥まった場所の席に落ち着くと人事担当者は話し始めた。

「今日お伺いしたのは、お願い事が有っての事なのです」

まだ学生の私に対してとても丁寧な話し方だった。

「はい、何でしょう」少し横柄に返事を返す。

「この話は、たとえお断りになる場合であっても、

絶対に秘密にしていただきたいのです。

勿論、このようなお願いをするからには、

貴方にとって決して悪い話ではありません。

そして、貴方が機密を守れる人物と見込んでの事です。

秘密を守ると誓っていただけますか」

頭を下げる人事担当者に対して私は、

ふんぞり返ってこそないものの、

「秘密の内容も分からずに、誓うなんて出来ませんよ」

とさらに横柄に答えた。

「勿論ですとも、ですが内容が内容だけに、

秘密を守ると誓っていただかないと、

これ以上はお話できません。

それに、話を聞いて頂いてもお断りいただくことは出来ます。

ここでの話を一切口外しないで頂ければ良いだけです。

秘密は守ると言って頂けませんか」

「まあ、口は堅い方ですから、話すなと言われれば、守りますよ」

かなり上からの言い方になっていたが、

それでも人事担当者は、

めげる事無く丁寧に話してくれた。

「お願いしたいのは、産業スパイになる事です」

少しだけ驚いた。

社会経験の殆ど無い学生にするような話とは思えなかった。

人事担当者は念を押すように、

「本当に秘密を守って下さい」と言い

私が「分かりました」と答えると

詳しい内容の説明に入った。

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