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「スパイ」-5

不況で中小企業でも就職希望者が押し寄せるようになったが、

業績の芳しくない中小企業では、

新入社員など必要としなかったから、

なかなか後輩が出来ずに部内で一番下っ端の状況が長く続いた。

大企業の人事担当者からは、3年後に一度だけ連絡が来たが、

せめて主任くらいになってもらわないとと言われて終わった。

10年以上かかってやっと係長にまで昇格したとき、

世の中も会社の中も大きく変わったことを知った。

そして、恐ろしい事実にやっと気づく事になる。

たぶん、間違って採用通知を送ってしまった人事担当者が、

間違いを誤魔化す為に、

産業スパイなどと言う話をでっち上げたのだろう。

子会社に対して産業スパイが必要ない事くらい、

もっと早く気付けばよかった。

いや、最初の話しの時に気付かなかったのだから、

ずっと気付かないままのほうが良かったかもしれない。

この会社に入社して直ぐに気付いてしまったら、

その後やる気を失って、

いまだに平社員のままだったかもしれないから。

気付かずに真面目にスパイのつもりで励んだから、

馬鹿な私でも係長にまではなれたのだろう。

子会社と言うものが、

どういうものかも知らないで就職活動をしていた馬鹿な人間だった。

子会社の役員が皆、

親会社を定年退職した人達で、

部課長クラスの幹部社員は、

親会社で採用されて出向している社員が多かった。

つまり、親会社の大企業にとって、

この子会社に探らなければならない秘密など、

ひとかけらもないのだからスパイが必要なわけが無い。

そして、子会社で採用されたら出世しても定年間際に課長か次長で、

10年で係長と言うのは、それなりに出世の早い社員だったのだ。

そして、今年大企業の人事担当者は、

リストラされて退職してしまい、

今更誰にも文句が言えない状態になってしまった。

-END-


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