fc2ブログ

「透明病」-1

透明人間というと普通体が透き通っていて、

他の人から見えない人間の事を思い浮かべるだろう。

だが、単に透明と言った場合、透き通っていても見えないというものではない。

例えば、透明なグラスはちゃんと見えるものだ。

物理的に光を通す上に空気と光の屈折率まで殆ど同じと言うのでなければ、

透明人間であっても目に見える存在だろう。

化学的に体の色素が全て無くなり無色透明になったとしても、

水と空気では光の屈折率が大きく違うから目に見えるだろうし、

沢山の気泡や油の細かな粒が体の中にはあるのだから、

泡とかラードとかが目に見えるように、

透明人間だけどよく見える存在でしか無いだろう。

でも、僕の場合は違う。

物理的に光を通すから透明と言うのではなく、

人の目に見えないから透明と呼んでいる、そんな病気になってしまった。

この病気の恐ろしい所は、

発症するとどんどん存在感が薄くなり、

周りの人から物理的に見えているはずなのに、

その存在に気付かれなくなっていくもので、

悪化すると病院に行き医者に見てもらおうとしても、

医者に気付いてもらえずに治療を受けられなくなるという事だ。

でも、人に気付かれないだけならば、

かえって便利だろうと思う人もいるかもしれないが、

人に気付かれないというのはとても生き難いことで、

尚且つ危険なものなのだ。

まだそれ程病気が悪化していない僕ですら、

車にはねられそうになった事が何度もあり、

駅前などの人通りの多い場所では、何度も人に突き飛ばされた。

嘘が1つ見えた気がする。

郵政民営化のデメリットとして掲げられている事に、

会社を分割したからサービスが低下したと言うのがある。

しかしこれはきちんと民営化されていないから起こっている弊害に過ぎないと思う。

何か官僚的と言うか公務員的と言うか、

縄張り意識的な発想があるせいでは無いかという気がする。

田舎では郵便配達人が郵貯簡保の仕事も兼ねていたから、

配達のついでにお金を預かる事が出来たのに、分割民営化されて、

郵便と貯金と保険が別会社になったから出来なくなったというけれど、

嘘だと思う。

別会社でも委託は出来るのが普通の会社。

しかもグループ内の会社同士で仕事の委託が出来ないというのはおかしな話だ。

現に対策は配達をする会社と窓口の会社をひとつにまとめるというものだ。

郵便局会社は他の会社の委託を受けて、

郵貯も簡保も郵便物の取り扱いも行なっているから、

これと郵便事業会社をひとつにすれば、

配達する人が窓口の業務も出来るという発想なのだろう。

でも、委託を受ければ良いのだから、

過疎地の郵貯や簡保の集金業務の委託を郵便配達をする会社が受ければ済む事で、

配達の会社と窓口の会社が別会社だから起こる問題ではない気がする。


「目撃感」-3

使用すればするほど自分の存在感が増すのだけれど、

周囲の人達の存在感が自分に集まる機械だから、

たぶん事件現場に居た犯人の存在感を消し、

原田君の存在感を高めたのだろう。

だから、原田君しか見えなかったのだ。

スターを目指す新人アイドルにとって、あの機械は魅力的過ぎたのだ、

連続使用は避ける様にと注意したはずなのに。

ステージ上での強い存在感は、スターのオーラと同じ効果がある。

機械を使用している人を見ると、その存在感の強さから、

何かの魅力で惹きつけられている様に感じ、

相手を魅力的な人物と錯覚する。

たぶんCDの売り上げも伸びたのだろう。

このままにしていてはかわいそうだから、

警察に出向いて事情を説明してやる事にした。


警察から戻った私は、自分の世間知らず振りを嘆いた。

原田君は一ヶ月前に事務所を首になって、

自暴自棄になり強盗を働いただけだった。

事務所の社長は原田君が機械を持ったまま行方をくらましたので、

私には順調だと適当に話していたのだろう。

そして、今のアイドルは、

テレビやネットを通して目立たなければ売れないから、

周りで見ている人にいくら存在感をアピールしても意味が無いらしい。

ただ、原田君は私の機械の性能をまったく信じていなかったようで、

機械を付けたまま強盗を働いたので、

大勢の人に目撃され直ぐに捕まったようだ。

だから、私の機械も少しは世の中の役にたったと信じたい。

-END-

「目撃感」-2

「彼は、今年の春CDデビューしたのだけれど、いまいちパッとしなくてね」

と私に向って話すと、直ぐに若い男性の方に向き、

「もう少し売れると思ったんだがね、何故だろね」

と嫌味な事を言う。

そして、こちらに向き直ると

「原田一大地君だ。こちらは君を何とかしてくれるかもしれない、えーっと」

私は急いで自己紹介し、原田君に握手を求める。

「いいね、くれぐれも事故がない様に。後は、2人で話し合ってくれ」

社長は忙しいのか、それだけ言ってさっさと出て行った。

私は、原田君に操作方法を一通り説明し、

使用した結果を報告してくれるように頼んだ。

数日後、プロダクションの社長から電話があり、

機械の調子が良いので、暫らくこのまま使い続けると一方的に言われた。

原田君からは何も報告が無いので腹を立てていたら、

それから、一ヵ月後のニュースに驚かされた。

機械を使用していた原田君が、強盗として逮捕されてしまったのだ。

原田君は身に覚えの無い事と言っているが、事件現場に居た事は認めている。

私には直ぐに理解できた。私の機械のせいだと思われるからだ。

強盗事件の現場で、犯人と対面した被害者は、

犯人に刃物で刺されて死亡している。

目撃者が多数いたのだが、みんな犯人は原田君だと言っている。

事件現場にいたのは原田君だけだから、

犯人は原田君しか考えられないというのだ。

しかし、おそらく私の機械、存在感増幅器の使いすぎのせいに違いない。

「目撃感」-1 

東京は目黒の芸能プロダクションの応接室で、

私はプロダクションの社長を前に発明品の売り込みに必死だった。

「とにかく、一度試験的に使ってみてください。

使って頂ければ、これの良さや素晴らしさが分かって頂けるはずです」

機械の現物を手に熱弁を振るっていた私は、最後にめいっぱい頭を下げた。

頭を戻し社長の顔をうかがうと、

少し気の毒そうな表情を浮かべながらも、胡散臭そうにこちらを見る。

「本当にこんな物が効果あるのかね。

まあ、仮に効果があったとして、人体に危険は無いのか。

その辺は確かめてあるんだろうね」

「勿論安全性は、自分自身で確かめました。

数日間身につけていても、今こうして何の問題も無く生きてますから。

それに理論的にもまったく危険は無いはずですので」

社長はなかなか納得できない様子だったが、

「只でと言う事ならば、うちの新人アイドルで試しても良いが、

ちょっとでも異変があれば直ぐに外させるが、それで良いな」

「はい、勿論です。では早速取り付け方や、操作方法を説明いたします」

と言い、機械の取り付け説明に移ろうとすると、

社長はそれを制止して

「私に説明されても、私が使うわけじゃないからね、ちょっと待ってなさい」

そう言って応接室を出て行った。

暫らくすると、成人したばかりぐらいの若い男性を連れて戻ってきた。

フリーエリア
カレンダー
03 | 2010/04 | 05
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
リンク
最新記事
カテゴリ
最新コメント
検索フォーム
QRコード
QRコード