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「シャーペン君」-2

フックにかけられて、最前列だと喜んだのもつかの間で、

直ぐに僕の手前に10本ばかし仲間が並べて掛けられた。

つまり、僕が実際に売れるまでに、手前の十本が売れる必要があるということだ。

当分この場でここのフックにぶら下がって過ごすことが決まった事になる。

長い間、暇をもてあます事になるわけだから、

何か出来る事はないかと考えた。

そして、周りに居る自分の仲間達の事を観察し、

自分がどのようなものであるかを考えてみる事にした。

ぼくの前後だから、

ぼくと同じもの達は体のほとんどが透明なプラスチックで出来ている。

だから、からだの中身まである程度観察する事が出来た。

ぼくの前に居るやつは、なんだか元気が無い。

中身の芯が折れている。

しかも二本以上。

ぼくの中の芯が折れていたらいやだけど、

ぼくの体の中はぼくには見えないのが残念だ。

でも、たぶん折れていれば分かるのだろう。

前のヤツのように。

たぶん折れると力が抜ける。

ぼくは力がみなぎったままだから、中の芯が折れたりしていないと思う。

ぼくの後ろのヤツは元気そうだから、声をかけてみた。

「あの、失礼ですが、・・・」いざ声をかけても、話題を思いつかない。

生まれて直ぐに暗い箱に閉じ込められて、

気が付いたらここにぶら下げられたのだから、

話題にするような事は見聞きできなかった。

何かを問いたくても、すぐには何も思い浮かばない。

暫く考えてから、「あの、すみません。何か知っていますか」と問いかけてみた。

少しはなれたところから、「何も知るわけ無いだろう」と返事が来た。

「シャーペン君」-1 

ぼくが生まれた場所は、どこか遠くの国だったような気がする。

生まれたてのときの記憶なんてほとんど無いから、

何処で生まれたのかなんて自分でわかりっこない。

とにかく生まれてから直ぐに何かの箱に詰め込まれ、

暗い中で長い時間を過ごしていた。

暗い中で過ごしている間に、色々な場所を移動していたような気がする。

明るい場所に出たときには、コンビニの店内だった。

ぼくと仲間達は、箱から出されると次々に売り場のフックにかけられて行った。

ぼくの右隣は、芯の太さ0.3ミリのシャープペンシル。

ぼくの前後には芯の太さ0.5ミリのシャープペンシル。

そして左隣には体がずんぐりと太い、

持ちやすさが強調された芯の太さ0.5ミリのシャープペンシルが並んでいる。

ぼくらの上には何も無いが、ぼくらの下にはマジックとかサインペンとかが並んでいる。

少し離れた場所には各種ボールペンが並べられているが、

ぼくの場所からは良く分からない。

ぼくは、箱から出されて一度床に転がされてしまい、

中の芯が折れたのではないかと心配している。

床に落ちて、ぼくらを並べていた店員が気付かないでいて、

別の店員が近付いてきて、

ぼくを踏んづけそうになったときは冷や冷やさせられた。

幸いすんでの所で店員が足元のぼくに気付いて、

足を引っ込めたから良かったけれど、

踏まれていたらぼくのやわなボディーは砕けていただろう。

僕は僕を踏みつけそうになった店員に拾われて、そのまま売り場のフックにかけられた。

事業仕分け第三弾、特別会計が対象

事業仕分け、最初は質問に的確に答えられない官僚とかが無能だから

切られて当然と言う気持ちで見ていた。

しかし、よく考えたら答えの難しい質問をいきなり出して、

即座に答えろと言い、答えられなければ仕分けるのでは、

説明の機会を与えているとは言えないだろう。

大勢の人間が監視する中で、短時間の話し合いで決定する手法は、

仕分けられる側を徹底的に不利な状況に追い込んでいる。

いきなりの質問に即座に回答を迫り、

答えられなければ直ぐに判定を下すというのは、

話し合いをしている様で、ただの脅迫に近いものだろう。

かなり頭のよい人だって、いきなりの難しい質問に、

的確な回答が出来るはずが無い。

ましてや異常に緊張が高められた中で、即答を求めるのでは、

一方的な尋問のようなもので、攻められる側に考える事すら許していないのに、

反論の機会を与えているとはとても言えない。

だから、民主主義的な話し合いによる仕分けなどとは言えないだろう。

スーパーコンピューターの件も、今は誰でも一位にならなければ意味が無い、

一位以外は見向きもされないからなどと答えられるだろうが、

たぶん、あの場でいきなりあのように質問されて、

的確に答えられる人がどれだけいるだろうと思う。

理由は相手の質問の趣旨を考えるだけでも時間がかかるということだ。

趣旨を取り違えればいきなり回答を否定されるような場面では、

趣旨に沿うように回答を変化させるという事も出来ない。

一位でなければならない理由を、一位で無ければ意味が無いと答えたら、

その理由を聞いているんだと怒鳴られるだろう。

意味が無い理由を具体的に示さなければならないが、

いきなりの質問ではたして具体的な回答が出来るだろうか。

具体的とは、二位だと需要がこれだけで、

一位だと需要がこれだけあるといった数字を示す事なのだから、

余程事前に準備して、質問を想定した解答を作っておかなければ

答えられるわけのない事だが、一位を目指すのが当然と思っていれば、

そもそもなぜ一位などと問われる事を想定する事が難しい。

元々事業仕分け的な事は、政治家が常日頃やっておくべき事で、

特別な事として行なうのがおかしい。

最終的に予算を決しているのは議員なのだから、

納得がいかない予算を削るのは議員の本来の仕事に過ぎない。

物語 目次


「乾電池くん」-8

「おい、みんな、誰かここの事情を知っているものはいないか。

おーい、誰か返事をしてくれ。おーい、誰かー」

だめだ、誰も返事しない。

まるでみんな壊れてしまったみたいだ。

壊れてしまった、そうなのだろうか、何か問題があるもの、

壊れたものが入れられた袋なのだろうか。

まさか、ぼくも壊れているのだろうか。

確かにもし壊れていて、自己分析機能までやられていたら、

自分では故障した事を確認できない。

どうしよう、このまままた長い時間こんな場所で、

こんな無口な連中、こんな壊れた連中の中で待ち続けるなんて、

真っ平だ。

ぼくは爆発する事にした。

もう待っていられないから、

ぼくを購入した人の指示で働くのが仕事だとプログラムされていたけれど、

ぼくを買った人がちゃんとぼくを使ってくれないのなら、

この場で爆発してやる。

ぼくを買ってくれた人がどんな風にアルカリ乾電池を使うのか楽しみにしていたのに、

使ってもらえないのならもう良い、ぼくの好きなようにしてやる。

乾電池くんは、爆発モードに自分をセットした。

セットすると自分でももう止められない。

乾電池くんは、乾電池型超小型核兵器。

兵器だけれど人工知能を有し、

自分で考えて爆発する事も出来る。

遠くの星のテロ組織が地球壊滅を目指して、

普通の乾電池に紛れ込ませて日本に送り込んだもの。

自分は何をするものか知らされず、

誰かの指示で何かの役目を果たすものとだけ思わされていた。

その上少し短気な性格に作られていた。

かっとなって勝手に爆発するように。

-END-

「乾電池くん」-7

四角い品物のスライドするふたを開けて、

中からぼくらの仲間を取り出してテーブルに置き、

握られていたぼくらを代わりに中へ詰め込んだ。

スライドのふたを閉めて、外側のボタンを押している。

なんだかぼくらの入った物を振り回す男。

ボタンを押したり振り回したりして、

再びスライドするふたを開けて、

ぼくの体をこすって回す。

もう一度ふたをして、ボタンをいじくる男。

いきなりテーブルの上に放り出す。

暫くするとまたぼくらの入った物を手に取り、

スライドするふたを開けて、ぼくらを取り出しテーブルの上に置く。

別のアルカリ乾電池を僕らの代わりに

ぼくらを入れていた場所に収めてふたをする。

ボタンをいじくると、

テーブルの向こうの四角い箱の表面が明るくなり何か色々な映像と音が出る。

男は満足そうに微笑むと、

ぼくらをテーブルから拾い上げて、キッチンに行き、

ぼくらの仲間がたくさん入ったレジ袋の中に放り込んだ。

いったい何がどうしたというのか、なぜあんな機械にはめ込んだのか、

そして直ぐに取り出しこんな風に袋の中に放り込むなんて。

何かのテストだったんだろうか、何かまずいことがあったのだろうか。

ぼくはテストに不合格だったのか。

そんなはずはない、ぼくの機能は全て正常だ。

最終的な動作確認はしていないから、

本当にきちんと働くかどうかは分からない。

だけど、自己診断機能で確認する限り、ぼくに問題点は何もない。

と言う事は、テストに合格したものがここに入れられているのだろう。

しかし、この数は何だ、

ぼくらが入れられた引き出し以外にも

アルカリ乾電池を保管していた場所があるのだろうか。

いや、それは考えにくい事だ。

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