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「視聴率」-1 

全身から白い光を放ち、

背中に白い羽の様に見えなくもないものが付いた者たちが、

退屈そうに地上を見ていた。

黒い翼のようなマントをはためかせ、

魔界とか地獄とか地上などの様な場所を、忙しく走り回る、

薄気味悪い黒々とした者が、ため息をついて言った。

「人間なんてたいしたものでも無いのに、いつも自分たちが主役のつもりでいる。

のんきな生き物だよな」

空を見上げていた人間が、涙をこらえながら言った。

「私達はなぜこの世に生まれてきたのでしょうか。

こんな辛い試練をなぜ神は与えるのでしょうか」

「この人間も、身の程を知らないみたいだ。

我々にすら神は見向きもし無いのに、

人間ごときの存在に何か意味があるなんて、まったく」

いるはずのない者がぼんやりと思った。

『私ですら誰かが作り出したりしていないのに、

私より小さな存在の彼らを誰がわざわざ作り出す必要がある。

私にさえ存在意義があったわけでは無いのに、

彼らに生まれた意味など有ったはずが無い。

しかし、良く考えればわかるだろう、

意味は自分自身の中にあることが』

みんなそれぞれ自然に勝手に生まれてきた者達だった。

    ★

初夏の日差しの中、マサシは颯爽と歩いていた。

右側には大きいけれど枝葉のまばらな銀杏並木が僅かながらも強い陽射しを和らげている。

左側には巨大なビルのガラスが日差しを反射してせっかく弱められた陽射しを増幅している。

まだ初夏の事だから陽射しはあっても、

空気に熱気は無くて風になって流れれば、涼しさを運んでくれる。

そんな時期だから、颯爽と歩くスーツ姿のマサシも汗だくにならずに済んでいる。

それに、颯爽と歩けばそれだけ風を感じることが出来て、

僅かににじむ汗を乾かし額を涼ませる。

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