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「視聴率」-8

カバン一杯に素早くお金が詰め込まれると、

奥にいた上司の行員が受付にやって来た。

「お金は渡すから、人質を解放しろ」と少し上から命じるように言った。

本人に自覚はなくても相手には上から命じているように聞こえる言い方だった。

気分を害したのは犯人だけではなくマサシもだった。

犯人を刺激してどうする。

だが人質の状況にいるマサシには苦情すら言えなかった。

代わりに犯人が言った、

「何だとこのやろう、偉そうに、てめえはすっこんでろ」

上司の行員は少し腹が立った様だったが、

「すみません、落ち着いてください、すみません」

ととりあえずのように謝った。

謝られてマサシの気持ちは一応おさまったし、

犯人の気持ちもおさまったようだった。

「カバン一杯に現金を詰め込んだのはいいが、

いったいいくら入ったんだ、金額はいくらだ」

犯人は時間稼ぎのためにそんな質問を始めた。

銀行側の対応は、人質救出最優先に変わっていたから、

とにかく手早く対応しなければという事で、直ぐに正しい金額を告げた。

「なぜ金額が分かる、事前に準備していたからじゃないか、何か仕掛けがあるんだろう」

時間稼ぎのために難癖をつける犯人。

「いえ、ここは銀行ですので、いかなる場合でも金額は確認しています。

カバンに詰める時にもきっちり数える習慣がついていますので、

直ぐに金額は分かります。

決して事前に準備しているとかそんな事はありません」

と必死に言い訳する行員。

しかし、実際には強盗に渡す為の、番号が控えられている紙幣であり、

使用されれば直ぐにそれと分かる仕掛けが施されていた。

だが、犯人にとってはどうでも良いことだった。

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