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「乾電池くん」-3

ぼくはいよいよ運命が決まる場所に到着するのだと思い、

レジ袋の中で少しどきどきしていた。

男の人は、コンビニに寄ると、

飲料コーナーと弁当コーナーを行ったり来たりして、

缶コーヒーとサンドイッチと菓子パンを二つカゴに入れ、

饅頭のパックとペットボトルの炭酸飲料をカゴに入れてレジに向った。

お金を払い品物の入ったレジ袋を受け取り、

おつりとレシートを受け取り、店を出る男

今度こそ、運命の場所に向うだろうか。


古いけど、しっかりとした造りの大きなマンションの中に入っていく男。

エレベーターに乗り込み8階のボタンを押した。

8階の男の部屋の前に到着し、

男が鍵を開けて部屋のドアを開けるのを期待しながら待った。

どんな立派な部屋だろう、

僕が活躍する場所にふさわしいだろうか。

外観は大きくしっかりした造りだから、期待したのだが、

男の部屋は思いのほか小さかった。

1DKの部屋は狭苦しくてたくさんの荷物で埋まっているから、

床がほんの少し、人がぎりぎり歩ける通路程度しか見えていない。

少しがっかりしたけれど、

部屋が狭い事ぐらいでがっかりしても始まらない、

問題はどんな風に使われるかなのだから。

ところが男は、僕らをレジ袋から取り出すと、

書棚の下の引き出しを開けて、中のプラスチックの容器に放り込んだ。

容器の中には、僕達より少し小さなアルカリ乾電池の4本セットや、

ずっと大きなアルカリ乾電池の2本セットなどが転がっていて、

それ以外に何に使う、何の道具か分からない小物がいくつか入っている。

たぶんこの場所が大切なものの保管庫なのだろう。

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