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「乾電池くん」-6

それからまた暫くして、引き出しが開けられて、

ぼくらの仲間から2本が取り出された。

4本セットだったぼくらは、今やぼく1人になってしまった。

2本いっぺんに出て行く事があるとは意外だった。

しかしこれで次は確実にぼくの番だし、

思っていたより早く順番が回って来そうで、少し安心した。

ところがそれからが長かった、なんでだと腹が立つ。

この部屋の主はいったい何をしているのだろう。

何でこうもアルカリ乾電池の使い方がいい加減なんだろう。

もう少し計画的に一定の周期で使用すべきじゃないのかなどと思う。

もっともぼく自身、アルカリ乾電池の使われ方を知らないのだから、

なんともいい加減な文句のつけ方だ。

ずいぶん待ったと思ったある日、引き出しが開けられて、

ぼくと同じ大きさのアルカリ乾電池が3本だけになって

プラスチックシートに包まれたものが放り込まれた。

順番待ちの数が増えてしまったと諦めかけたとき、男がぼくを手に取った。

手にとって、まだ残っていたプラスチックシートの端切れを取り除き、

元々持っていた別のアルカリ乾電池一本と一緒に手ににぎり、

引き出しを閉めた。

やっと、引き出しの外の世界に出してもらって、

外のよどんでいない空気に触れて、生き返る思いだ。

もっとも生きるという事自体知らないから、

生き返るという思いも言葉として知っていただけで、

何となくこういうときに使うのだろうと思って使ってみただけだ。

男はぼく達を手ににぎり、ソファーに腰をすえると、

テーブルの上に置かれた薄い四角いプラスチックの品物をもう一方の手に取った。

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