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「シャーペン君」-6

彼女が再びぼくを手に取り、ぼくの周りのめんどくさい袋を破り、

ぼくを引き出してくれる。

初めての開放感を味わう。

ぼくを握り直し、ペン先を紙に押し付ける。

何か分厚いノートのようなものだけど、

書かれている文字は全てインクで書かれていて、

鉛筆書きはされていない。

初っ端から下書きか、上からボールペンでなどられて、

ぼくの書いた文字は直ぐに消されてしまう。

むなしい仕事だ。

彼女は、ぼくを使って次々数字を記入していく。

ぼくは足元を見た、ぼくが書いた文字を眺めてみた。

何故だろう、何故だかぼくの書いた文字はインクで書かれた文字だ。

『新しいボールペンね』彼女の隣の席の女性が彼女に問いかけた。

『ええ、コンビニで見つけたの、ちょっと変わってるでしょう。

会社で支給されるボールペンじゃあ手が疲れて仕方なくて、

疲れにくいグリップ付きってなんだかずんぐりしてるでしょう、これが良いらしいのよ』

『へえー、そうなんだ、私も今度買ってこよう』

ちょっと待ってくれ、それじゃあぼくはボールペンだったのかい。

そういえばコンビニの売り場でも会話できたのはボールペンだけだったしな、

何だそうだったのか、良かったよシャーペンじゃなくて。

『あら、そのボールペン買ったのね』

『あっ先輩、教えてもらったの買いましたよ、ほんとに書きやすいですね』

『そうでしょう』

その時先輩が手にしていたものが話しかけてきた。

「おい、お前、もしかして自分はボールペンだと思ってないか」

「えっ、ああ、はい、どうやらぼくはボールペンみたいです」

「お前な、ボールペンて何だと思ってるんだ。俺達は」

その時先輩の女子社員はその場を立ち去ってしまった。

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