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「宇宙人のタイムトンネル」-9

しっかり準備を整えて、宇宙人の計算機でタイミングを計り、

いざ未来への旅に出発だ。

タイムトンネルに飛び込む。

そしてひたすら歩く。

4050年分未来へと歩く。

歩いた時間は、感覚的には数分間だと思うのに、

もうトンネルの出口が見えてきた。

50年後の未来はどんな世界になっているのだろう。

期待に胸を膨らませ出口へと向う。

トンネルの出口にはカレンダー機能付きの時計を置いてきたから、

出口で時計を確認すれば直ぐに成功か否かが分かる。

一歩トンネルの外に踏み出し、外の世界を眺めると、

確かに未来に来たのだということだけは直ぐに分かった。

最初にトンネルに入る前に設置した柵が、結構古びたものになっている。

直ぐに時計を確認した。

計算どおり約50年後の世界だった。

柵の扉を開け周囲を見回す。

私の屋敷もずいぶん古びてしまっていた。

屋敷の周りは私の家の庭だから、

管理を任せた弁護士に、

この敷地内は手を付けるなと言ってあったのだから、

手入れされずただ古びただけなのは当然だ。

何となくだが、

未来に来たのにその場所が古びていると過去に来てしまったような気分にさせられる。

とりあえず、屋敷の中に入り荷物を置いて浴室に向う。

3日間森の中で過ごし、

風呂にも入っていない髭もじゃの姿で、未来の街に出かけるわけには行かない。

過去から原始人がやって来たなどと言われて、馬鹿にされたくはない。

今の時代の最新ファッションなどは分からないし、

屋敷に置いてある訳がないが、

身奇麗な格好であれば野蛮人などとは思われないだろう。

入浴を済ませ身支度を整えて出かける準備をする。

「宇宙人のタイムトンネル」-8

一応文庫本を3冊と、携帯ゲーム機は持ってきた。

携帯電話も持ってきているが、当然通信する相手はいない。

携帯電話は電波の届かない場所ではバッテリーの減りが早いと聞いたことが有るので、

持ってはいるが電源はOFFにしている。

初日は割と早く過ぎて行った。

あまり動き回らないとは言え、

自分の居場所を少しでも快適にする為にいろいろとやる事があったし、

未知の場所と言う事での好奇心も有ったから、

周囲のほんの狭い範囲でも、見回すだけでワクワク感があった。

4000年前の過去の世界なのだから、

現代と何か違いはないかと周囲にあるものをいろいろ眺めるが、

自然の植物の姿なんて4000年くらいでは大して差がないのだろう。

別段珍しいものも発見できなかった。

もっとも私はそれ程植物に詳しいわけではないから、

専門家が見ればそれなりに違いが分かるのかもしれないとも考えた。

昼間はとりあえず読書も出来たし、

携帯ゲーム機もそれなりに暇つぶしになった。

夜間は月明かりだけでは本は読めず、

ゲーム機の液晶画面はバックライトで見やすくはなるが、

同じゲームばかりでは直ぐに飽きてしまう。

夜中は森のあちこちで不気味な鳴き声や薄気味悪いかさかさと言う物音で、

怖くてあまり眠れなかった。

それでも僅か3日間だから何とか過ごす事が出来た。

間もなく丸3日と言う時間になって、後片付けを始めた。

4000年前にある筈のないものを置き忘れたりすると、

きっと現代に変な影響を与えてしまうだろうと考えて、

何一つ残さないようにと気をつける。

「宇宙人のタイムトンネル」-7

宇宙人の計算機には速度計測機能もついていて、

タイムトンネルと自分との相対速度を計測し、

到着した年代を計算してくれる。

トンネル出口で計算してみると、約4000年前に到着できていた。

約3日居れば50年後の未来に行ける事になった。

4000年前人類はもう文明を持ち始めているけれど、

文明があるのはたぶん四大文明の地ぐらいだろうから、

トンネルの外には人っ子一人いないだろうと思ったが、

予想通りジャングルみたいな未開の森になっていた。

トンネルの周囲は人が入り込んだ形跡など何もない木と草が生い茂った場所だったから、

周囲の木や草を少しなぎ払って、

自分の居場所を確保するだけで結構な時間を要してしまった。

草木に覆われた森の中だから、

下手に歩き回って元の場所が分からなくなってしまうと、

とても危険だと考えた。

それに5日間は過ごせるだけの食料と水があるのだから、

過ごし易い場所を探し回るより、

この場所を少しでも居心地よくすることを考えるべきだろう。

変な虫や動物に襲われることがない様にしなくてはならない。

そう考えると大型の肉食獣が襲ってくるような危険も考えて、

木の上で生活するのがベストだろう。

もっと広い空間があれば、

火を炊き続けるとか考えられるが、こんな森の中では難しい。

それにもし動物に襲われたとしても、

トンネルの側に居れば直ぐに逃げ込めるのだから、

あまり心配する必要はない。

それよりも何もない森の中で3日間も何をして過ごすかが問題だ。

退屈こそが一番の敵。

「宇宙人のタイムトンネル」-6

一月もかかってしまったと言うより、

僅か一月でよく出来たものだと思う。

何しろタイムトンネルと言う事を誰にも秘密で準備するのだから大変だった。

別に秘密にする必要はないのだが、

タイムトンネルだとか宇宙人だとか言っても、誰も信じないだろうし、

頭がおかしくなったと思われて、逆に準備がしづらくなりそうに思えた。

いざトンネル内に入るとなると多少不安になってくる。

しかし、ここは勇気を振り絞り好奇心を奮い立たせて、

トンネルの入り口に立った。

5日分の荷物は重く、最初はもっと短い時間で試すべきかもと思ったが、

僅かな未来と言うのも難しく、

3000年前に1日だけだと到達できる未来は僅か2日後になってしまい、

未来に行けたとも言いがたい事になってしまう。

やはり覚悟を決めて長期間の過去への滞在を目指すべきだろう。

それに、いざ過去に戻って長期滞在が無理だと思えば直ぐに戻れば

殆んど現在に戻る事になるから大丈夫なはずだ。

私は、出来るだけ昔に戻れるように、

重い荷物を担ぎながらも頑張って早く歩いた。

下手に近い過去に戻ったりすればそのほうが危険だろうと思った。

数百年前だと戦国時代だったりしたら、

不審な人間として捉えられてしまうかもしれない。

だから、人間が少なくあまり国家などと言う集団を形成していない時代の方が

安全だろうと思う。

出来るだけ急いで歩いた。

少し苦しいぐらい頑張って歩いた。

自分の時間としてはたぶん数分間だったと思う。

目の前にトンネルの出口が見えてきた。

「宇宙人のタイムトンネル」-5

私はタイムトンネルを早く試したくてうずうずしていた。

ユウキさんの説明の通りだと過去にまず長時間滞在する必要がある。

少しだけ過去に行ってみても良いが、

過去では何も出来ないのだから行くだけ無駄だろう。

試すなら未来に行かなければ意味が無い。

計算機で計算してみると、100年後の未来に行く為には、

1000年前なら100日、

10000年前の時代なら1日居なくてはならない。

ただ、最初に1000年前に行く為には時速1キロで入ればよいが、

10000年前に行く為には時速30キロの速さが必要だ。

普通に歩く早さ時速5キロだと、3000年前に行く事になり、

滞在期間は12日必要だ。

仮に3000年前に3日間いたとすると、

到達できる未来は30年後と言う事になる。

いろいろ計算したが、5日分の水と食料を用意して、

出来るだけ早くトンネル内に入るということにした。

トンネルは設置スペースに直径10メートルが必要だと言っていたが、

実際トンネルの入り口はそれぐらいのスペースが必要そうな感じで広いのだが、

奥は狭まっていて、とても乗り物で突っ走れそうには無かった。

自転車くらいはと思うが、床面が湾曲していてしかも凹凸もあるようなので、

やはり歩いて入るしかなさそうに見えた。

水と食料と寝袋などの準備も必要だが、

私がいない間に誰かがトンネルに入り込んだら大変だ。

トンネルの周りに柵を作り立ち入り禁止にする事などの準備も必要だ。

さらに旅行中の資産管理なども必要だろうと思い、

弁護士に依頼するなどいろいろと手間取った。

結局全ての準備を終えたのは一月後のことだった。

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