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「恐竜君の人生」-7

次に生まれ変わるなら、支配者を支配する生き物になりたい。

地上の支配者がある時僕に長い筒を向けて、

恐ろしい音を響かせた。

突然胸に痛みが走り、動けなくなって空から落ちて意識がなくなった。

気が付くと僕は、何かの生き物の指の上に止まりふんぞり返っていた。

食べ物は何時でもその生き物が運んできてくれる。

僕はその生き物の周りで歌って踊って気ままに生きている。

僕を襲って食べようとする者もいない。

その生き物に痒い所を差し出すと、ちょんとかいてくれる。

差し出される食べ物は美味しいものばかりだ。

いろいろなものが並べられるから気に入ったものだけ選んで食べれは良い。

願いが叶って世界の支配者の支配者になれたようだ。

     ★

今、私の指の上で、

顔を背中にめり込ませて眠るセキセイインコのチロは、

壮大な夢を見ているのかもしれない。

なんとも気持ちよさそうな寝顔は、

かわいらしくて仕方ない。

突然目を覚ましたチロは、私の親指に頭を摺り寄せてくる。

首の周りをかいて欲しいのだと分かるから、

人差し指で首の所を下から上にホリホリとなでてやる。

気持ち良さそうにうっとりとして半分目を閉じる。

小さなセキセイインコも、

大昔地上を支配したでっかい恐竜達の子孫らしいと聞いた事がある。

恐竜は絶滅したけれど、絶滅する前に始祖鳥となり、鳥へ進化したらしい。

こんな小さなインコが、こんなに偉そうに胸を張っているのは、

かつて地上の支配者だったからかもしれないとふと思った。

-END-

 

「恐竜君の人生」-6

次に生まれ変わるなら空に住みたいと願った。

僕の仲間たちもみんな同じ様に願っていたと思う。

大きすぎるのは、みんな飽き飽きしていた。

だから、みんな次は空だと思った。

生まれ変わるなら空に住む生き物になりたいと、みんなも願った。

いつの間にか僕の体は小さな生き物にかじられて、

沢山血を流し弱り果てていたらしい。

だんだん意識が遠ざかり、意識が無くなった。

気が付くと大空を飛び回る生き物になっていた。

仲間たちもみんな空を飛びまわっている。

身体は小さくなったけど、空には僕ら以外に生き物はいないから、

空に居る限りのんびりと生きていられる。

僕は空の生き物の生活が気に入ったから、

生まれ変わっても空を飛ぶ者になり続けたいと願った。

何度も生まれ変わり、だんだんと空の飛び方も上手くなった。

僕らが地上を明け渡したら、

地上には変な生き物があふれ出していた。

僕らと同じ様に二本足で歩くけど、空の飛べない種族だ。

彼らはやがて地上の殆んど征服し、

自分たちより大きな生き物も従わせるようになった。

地上はもはや彼らが支配する世界だった。

僕は考えた、僕らが明け渡した地上をもう一度支配できないか。

地上を支配する彼らを、僕らがさらに支配して、

食事や水を献上させれば、今よりももっと楽に生きる事が出来る。

空の仲間も増えすぎて、

せっかく空が飛べるのに食べ物を求めて海に戻る者や、

陸地を走り回る者が現れるようになっていた。

地上の支配者をさらに支配するそんな生き物になりたいと願った。

 

「恐竜君の人生」-5

なぜ痒いのかと思っていたら、

小さな生き物たちが僕の体に住み着いていた。

体は重いけど結構早く走れるし、

体の表面は結構固い物で覆われているから、

僕を食べようなんて無謀なことを考える者などいないと思っていた。

小さな生き物は、僕の様にでかい身体でも、

少しずつなら食べられるということだ。

どうやら僕らもこの世の支配者では無いらしい。

そのうち僕はこの小さな生き物に食べつくされてしまうのだろう。

大きな体を維持する為には、沢山の食べ物が必要だから、

何でもかんでも食べなきゃ駄目だ。

美味しい木の実や、甘い蜜だけ食べたいけれど、とても足りないから、

すっぱい葉っぱや辛い葉っぱ、渋い木の皮や苦い根っこも食べなきゃならない。

だからと言って小さな生き物に生まれ変わったのでは、

また大きな生き物に追い回される暮らしに逆戻りだ。

僕は悲しくなってしまった。

悲しくて空を見上げると、白い雲がのんびりとゆったりと浮かんで流れていた。

次に生まれ変わったら、あんな者になりたいと思った。

空には敵が居ないから小さくたって大丈夫だろう。

そして、お腹が空いた時だけ空から舞い降りて美味しいものだけ食べて再び空に舞い戻る。

風に乗ってフワフワするのは気持ちよさそうだ。

こんなでかい図体で、地響きを鳴らしながら、

大きな足跡をつけて歩くのはなんだかダサくて嫌だった。

地上に比べ、空はなんだかとても広くて綺麗で果てしないものに思えた。

あんな広くて綺麗な世界に住みたいと願った。

 

「恐竜君の人生」-4

他の仲間より体がでかくて強くなれば、

食べ物の奪い合いにも負けないだろう。

毎日大きくなりたいと願った。

周りの仲間よりも大きく強くなりたいと願った。

それからは競争だった。

僕も少しずつ大きな体に生まれ変わった。

高い木の上の葉も食べられるような身体になった。

仲間の中には、大きな身体を活かして再び水の中に帰っていくものもいた。

川の中や海の中で昔自分たちを追い回していた大きな魚たちを、

今度は自分たちが追い回し捉まえて食べてしまう。

中には鋭い牙を持ち、種類の違う中間達をその牙で捕まえるものも現れた。

僕は思いっきり大きな生き物に生まれ変わっていた。

僕が歩くと地響きが起こり、

僕より小さな者たちは僕が近づく地響きを聞いて直ぐに逃げていく。

僕と僕の仲間達はもうこの世界の王者だと思った。

僕たちより優れた生き物はいないと思った。

でも、体は重くて歩くだけでも大変なエネルギーを使ったから、

沢山の食べ物が必要だった。

周りの食べ物を食べつくすと、重い体を揺らし地響きをさせて歩き回り食べ物を探す。

地面には大きく深い足跡が出来た。

なんだか嫌だった。

重い体を支える足は、確かに丈夫なものだけれど、

重い体を乗せているからやはり疲れる。

背中が痒くてかこうとしても、でかすぎる体は重たくて、

それを支える手足は太くて丈夫だけれど、体の隅々まで届くほどには長くない。

身体をどこかに押し付けて擦り付けようとすると、

押し付けられた物がつぶれてしまって、上手くかけなかった。

 

「恐竜君の人生」-3 

日が沈み、日が昇り、何日も何日も、

群れを成す虫たちから逃げながら、

こんな生活は嫌だと思い、せめてもう少し大きくなりたいと願っていた。

暑い季節が終わり、丁度良い季節は直ぐに過ぎ去って、

冷たい風が吹く季節がやって来た。

体がかじかんでますます動きが鈍くなる。

ある日空から小さなフワフワした白い物が舞い降りてきた。

綺麗だなと思っていたらそれっきり体が動かなくなった。

だんだんと意識が遠退いて、白い物に身体を覆われてしまった。

寒すぎるのも嫌だと思ったのが最後だった。

次に気が付いたら暖かい世界で、前よりは手足がちゃんとしていて、

身体も大きな生き物に生まれ変わっていた。

大きいといっても虫にたかられないくらいの大きさで、

地面に生える背の低い草花くらいの背丈しかない。

それでも手足が長いから動き回るのに不自由はなさそうだ。

たぶんそれなりに強い生き物なのだろう。

僕と同じ生き物の仲間が沢山居る。

これで平和な生活を送る事が出来ると喜んだ。

何年もの月日が流れ、僕も同じ生き物に何度も生まれ変わっていた。

仲間の数はどんどん増えてだんだんと食べる物が減って行った。

最初の頃は地面から生える草花は無限に生え続けるものだと思っていたのに、

今では僅かな草を仲間同士で奪い合っている。

その上、背の高い樹木が増えて、

背の低い草花は日の光を遮られて、少ししか成長してくれない。

このままではいずれ餓死してしまうと思った。

そして、高い木の上の葉をたべらるような大きな身体になれれば良いのにと思った。

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