fc2ブログ

「幸運」-4

テレビを点けてバライティーの気楽そうな番組を探す。

心が休まりそうに無いと思い、パソコンで単純なゲームを始める。

眠くなるまで続けて、深夜一時を過ぎてベッドにもぐりこんだ。

無理やり楽しい事を想像し眠気が訪れるのを待った。

 気が付くと、窓の外が明るくなっている。

人間こんな時でも眠れるものだと自分に感心する。

朝食はやめておく。

歯磨きの後シャワーを浴びて髪を乾かし、暫らくテレビの画面を睨んでいた。

 時間は無常に過ぎて行く。

私はテレビを消して立ち上がり、いつもの洋服を身に着けると部屋を出た。

 テロ組織の施設と間違われている場所は、

いろいろな行事に使われる多目的ホールであり、

いろいろな人が出入りする中で、

たまたまテロ組織のメンバーの集会が行なわれた事が有った。

 テロ組織には容赦の無い大国は、

テロ組織の集会が行なわれた施設を、テロ組織の溜まり場と決め付けて、

きちんと調査することもせずに攻撃を決定した。

この国の政府への警告を行ないもしないで。

この国との無理やりな条約を根拠として。

 昨日の陽気とあまり変わりの無い過ごしやすい天気に、

つい自分の任務を忘れそうになる。

     ★

 僕がなぜ今まで生きてこられたのか、たぶん皆に生かされている。

そんなふうに思うのは、自分がなかなか運がついていると思うからだ。

ついているというのも、

特に幸運が舞い込んで金が儲かるなどと言う事ではなく、

何があっても生活に支障が無いという意味だ。

 僕が住むこの国も今は平和そのものだけど、

数十年前には大きな戦争を経験している。

そんな戦争のさなかに生まれなかった事も幸運だと思うが、

この国には戦争よりも恐ろしいかもしれない災害が多発している。

 

「幸運」-3

 批判を受ける事は大国の政治家達だって分かる事だろう。

なのにあえて爆撃を行なおうとしている。

何かの陰謀が有りそうな気がしても当然だろう。

私がこんな仕事を命じられたのも少し胡散臭さを感じないわけではない。

わざわざ眠らせて、安楽死させてやろうなんて誰が考えたのだろう。

 まあ、単純に私の能力を活用する事を思いついただけかもしれないが、

私の能力がもう少し巧みなものであればと思う。

催眠術師のように、眠らせた人間を操る事が出来れば、

全員を避難させる事も出来るだろう。

それが出来ないから、せめて楽に死なせてやるだけだ。

 それでもたぶん私と直接対峙して勝てる人間はいないだろう。

組織の仲間達ですら私の能力を恐れて直接会う事を避けている。

何しろ私と直接会えば、どんな人間でも眠らされてしまい、

眠っている間に何をされるか分からないのだから。

だから、私と行動を共にしたがる人間がいないと言う事になる。

私が戦闘部隊と行動を共にすれば、史上最強のゲリラ部隊に成れるのに、

私の能力を知るものは、みんな私を恐れて近づかない。

 結局私の役目として与えられる仕事は、こんなものになってしまう。

相手が兵士達であればまだ私も戦ったという気になれるのに、

相手が民間人で、単純に死の恐怖を取り去ってやるだけだと言うのでは、

正義の為に戦っているとは言い難いから、気がめいる。

 明日の仕事の為に、今日は体調を整えておく必要がある。

今夜は酒も控えなくてはならない。

明日の悲劇を知っている身としては、

せめて酒でも飲んで酔わなければ、

心が押し潰されてしまいそうだ。

 

「幸運」-2

 明日の朝私は、ある施設へ向かう事になる。

その施設では正午の鐘と共に結婚式が執り行われるはずだ。

そして、同時に殺戮が始まる。

 私は結婚式が始まる直前に、その施設に居る全ての人間を眠らせる。

ただの一人も逃げ出さないように。

誰も武器を持たない、誰も抵抗しない、

そんな場所を攻撃した連中を、世界の目の前に晒し、

悪行として世界に伝える。

 大国はその威信を傷つけられて、

少しは行動を慎むようになるだろう。

そして、そのような非道な戦いを続けようとする政府が崩壊する事を願う。

 本当であれば、攻撃する側を全員眠らせてしまいたい。

しかし、洋上の空母から飛び立つ爆撃機や戦闘機が相手では、

私の立ち入る隙が無い。

はるか上空を飛ぶ爆撃機のパイロットを眠らせるほどの能力は無いし、

洋上の空母が相手では、もぐり込む事も難しい。

 施設の利用者には、

テロ組織の施設として狙われているという事は知らせたのだが、

誰もこの平和な国が爆撃の対象になる事を信じなかった。

結婚式は、我々の警告を無視して予定通り行なわれるだろう。

だからせめて攻撃を受けて苦しんで死ぬ前に、

その苦しみを取り除く為に深い眠りに着かせてやろうと思う。

 もしかしたら全ては我々の組織が仕組んだ事なのかもしれない。

我々の組織はテロ組織では無いと考えている。

巨悪の存在である大国をゲリラ活動で苦しめる事が我々の仕事だ。

大国がこんな平和な国で爆撃を行なえば、

世界中から批判を受けるだろう事は誰が考えても分かる。

「幸運」-1 

 春三月も終わりに近づき、桜の花が満開を向え、

今日のように晴れてうすら暖かい陽気になれば、

桜咲く通り沿いの道は賑やかさがまとわり付く。

公園の入り口には屋台が並び、

公園の中にはレジャーシートを広げて陣取る多くの家族らしき者達が見られる。

 桜の花を一人ただ楽しみたくて歩いている者には、

休日の家族連れは邪魔で目障りで仕方ない。

それでも、いつもは平気で犬を放し飼いにする迷惑な人達が、

少し遠慮しているのは好ましい。

平気で迷惑をかけている人達も、

大勢から苦情を言われるのは嫌なものなのだろう。

 近所を一通り散歩して廻り、平和のありがたさを噛みしめた。

明日からはきっとこのようなのどかな景色は見られないだろう。

あの大国が動き出すはずだから。

 もう二十一世紀に入ったというのに、

いまだに人類は憎みあう事を止めようとしない。

あの先進国であり超大国であり自由と平等の国ですら、

自分たちより弱い者達に対して、怨みを持ち続けている。

いい加減許す器量をもてないものかと思うが、

とにかく自国民こそが大事な世論に動かされ、

自国民を少しでも苦しめる他の国を攻め続ける。

 そんな大国のエゴに満ちた世論で政治を行なう政治家達は、

いつまでたっても大人になれない者達なのだろう。

相手から怨まれ怨み返し力には力で対抗し、

世界に悲劇を輸出し続ける。

 散歩を終えて帰宅すると、デスクトップのパソコンにメールが届いていた。

『明日の予定に変更なし、せめて安らかな眠りをお与え下さい』

 送信者名は意味不明な記号の羅列、件名は無い。

わずかばかり残されていた期待も全て消え去ったという意味だ。

 

二日酔い。

先週の風邪は完全に治ったけれど、

今日は完璧に二日酔いです。

店に居たのは十時半くらいまでなのに、

まるで明け方近くまで飲んでいた様な気分です。

昔は二日酔いしても、胃がむかむかするとか、

頭がふらふらするとかの症状でしたが、

最近は胃のむかつきや頭の具合より、体全体の疲労感が強い。

単純に年で、体力が弱っているのか、

ただの運動不足で持久力がなくなっているのか、

原因は良く分かりませんが、

大して飲みすぎてはいないと思うのに、飲んだ翌日は体がだるい。

それと気になるのは、飲んだ翌日にやたらと反省している事。

反省する理由はないはずなのになぜか反省している。

酒を飲んだことを反省しているのでは無く、

何か悪い事をしていたような気がして反省している。

もしかして、アルコール依存症による、うつ症状?

物語 目次


 
フリーエリア
カレンダー
09 | 2010/10 | 11
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 - - - - - -
リンク
最新記事
カテゴリ
最新コメント
検索フォーム
QRコード
QRコード