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「さまようコンビニ」-6

「お久しぶりです。なぜか近くまで来たもので、

懐かしくなって寄ってみました。

あの、私、分かりますよね」

少しきょとんとした表情の彼女に不安になる。

「あっ、すみません健二さん。もちろん分かりますよ。

ちっとも変わってないのですもの」

 建物のわりに新しい雰囲気の玄関。

部分的にリフォームされているようで、

玄関ドアもしっかりとした造りになっている。

彼女はあまり私を歓迎していないのか、

ドアの外に立たせたままで招き入れようとはしてくれない。

 少しずうずうしく入り込まなければ事情も聞けないだろうと思い

「ちょっと中に入ってもいいですか」

と言いながら無理やり彼女を押して、玄関内に入りこむ。

 中の様子を見て彼女が私を入れだがらなかった理由が分かる気がする。

ゴミ屋敷というほどではないが、

いろいろの物とあきらかなゴミとが雑然と積み重ねられている。

昔の彼女はこんなに家の中をごちゃごちゃさせておく様な人ではなかった。

何か訳があるのだろうと思った。

「ずいぶん久しぶりだと思うけど、元気でしたか」

と社交辞令的な言葉をかける。

「ええ、まあ何とか生きてます。

健二さんが突然居なくなってからも何とか父と二人生きてました」

と少しむっとした口調で言われて、若干いらっとしてしまう。

 突然居なくなったのは千恵さんの方なのになぜだ。

 玄関の中までは入り込めたものの、

その先には上げようとしない千恵さんの態度に、

今はもう他人なのだと感じた。

それでも先ほどもれ聞こえた話し声が気にかかる。

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