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「さまようコンビニ」-7

「あの、少し話は出来ませんか、

久しぶりにお会いできて懐かしい話もしたいのですが」

「ああ、でも今は立て込んでますから」

「忙しいですか、

でも少しくらい時間をいただけませんか、せっかくですから」

「はあ、その、父が病気で寝たきりですので、

ずっと付き添ってなければならなくて、

家の中もこの有様ですから、あまり立ち入られたくないので」

「では、一つだけ聞かせてください。

数年前、いやたしか、七年前ですね、

あなたは何故突然居なくなってしまったのですか」

「はっ、どういう意味ですか。

いなくなったのは貴方の方ではないですか。

突然別れを言い出して、私を残して東京に行ってしまって」

 話が噛み合っていない、何故だろう。

「少し話しを整理した方がよさそうですね、

本当に少し時間をもらえませんか」

 すこし強引に言ってみるが、千恵ちゃんは困ったような顔をする。

私はそれでも自分の言い分だけは聞いてもらいたかった。

「七年前、デートの約束をしていたのにすっぽかされて、

連絡しても別れてくれの一言で、

仕方なくこの家を訪ねると、

お父さんがいらっしゃって、

千恵ちゃんが突然家を出て東京に向かったと聞かされたんだ。

昔の恋人とよりを戻す為に。

そう聞いて腹立たしかったけれど、きっぱりと諦めたんだ。

当時僕は君を追いかけて東京に行く勇気も無かったし、

君のお父さんは君の居所を教えてはくれなかったから」

 そこまで話しても千恵ちゃんは困ったような顔のままだった。

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