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「さまようコンビニⅡ」-9

 取調べが数日続いた後、やっと弁護士との面会が出来る事になった。

「俺はあの日はっきりと山崎らしい人物を見たんだ」

「ですから、そんな事を言っても山崎はその時はるか彼方に居たのですから、

しかも警官に逮捕されていたのですから、山崎のアリバイは確実です」

「いや、それならば山崎に似た男かもしれない。山崎に似た男が立嶋を刺したんだ」

「田之上さん、無理ですよそんな話いまさら。

例え山崎に似た人間がいたとしても、犯行の動機は何ですか。

田之上さん本当に貴方の犯行ではないという自信は有りますか」

「勿論有るよ、俺はやってないんだから」

「ですが、もしやったのなら素直に犯行を認めた方が、

情状酌量の余地が有りますよ。

立嶋に脅されて切羽詰ったと言えば、まだ同情の余地があるでしょう」

「何を言ってるんだ、俺は絶対にやってない」

 しかし、この時の弁護士との会話が俺の頭の中に残った事が、

俺に止めを刺すことになったのだと思う。

その後も続けられる厳しい取調べで、

ついに俺も精根尽きてしまい、無理だと思ってしまったのだ。

半分意識が朦朧としていたのかもしれないが、

俺の無実を証明する事が不可能ならば、

少しでも刑を軽くする為、

素直に犯行を認めて反省している姿を示すしかないと思ってしまった。

 警察官の言うがままに犯行を自供して、調書にサインした。

やっと長かった取調べから開放された。

しかし、これで俺が犯人だという事で確定してしまうだろう。
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