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「ゲームのマ王Ⅲ」―7

 辺りは何も無い真っ白い世界だった。

気味が悪いくらい白くて、でも何となく暗い世界。

少年がもう一度、「一緒に行きましょう」と言って手を差し伸べてくる。

 私はたぶん死んだのだと思った。

目の前の少年はいわゆる天使なのだろう、そんな感じがした。

だから、彼の手に自分の手をそっと差し出した。

彼は、私の手をぎゅっと握ると、

今度こそ離さないという様に、しっかりと包み込み、

私を引っ張って立たせて、歩き始めた。

「ここは、天国の入り口かな、それともまさか地獄の入り口か」

「どちらでもないですよ、面白い事を言いますね。

まるで僕達がもう死んでしまったみたいじゃないですか。

それとも死にたいのですか、それがあなたの夢ですか」

「いや、死にたくは無いよ。

でも、ここはまるであの世と言うか死後の世界っぽいじゃないか」

私は周囲を見渡しながら、薄気味悪さを感じて少し震えていた。

「大丈夫ですよ。まだ死にはしません」

「まだって、なに。直ぐには死なないだけで、そのうち死にますってか」

「やっぱり死にたいのですね。でも、ゲームに勝たないと死ねませんよ」

「ゲームってなんだい」

「今始まったばかりのゲーム。いや、正確には始めようとしているゲームの事ですよ」
 
 私と少年は歩いて進んでいるのだと思っていたが、

気が付くと地面は無くてふわふわと浮いたまま進んでいた。

足を動かしているつもりだったのに、

少しも動かしていなかった。

ただフワフワと宙を進んでいる感覚だけがある。

周りは白いもやばかりで何もないというのに、

なぜか進んでいる事だけは分かる。
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