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「幸運Ⅱ」-3

 入り口付近でどうしたものかと佇んでいると、

気を利かせた店員がテーブル席で一人で飲んでいる男に相席を頼み、

俺をそのテーブルへと案内した。

テーブル席で飲んでいた男には少し見覚えがあったが、

どこで見たのかも誰なのかもまったく思い出せなかった。

 相手の男も同じで、何となく見覚えがあったのだろう「ああ、どうも」

と何となく知っているかもしれないと言う雰囲気をかもし出している。

 男と向かい合わせに座ると、

ビールと少しのつまみを頼み暫くうつむいて考え事をする振りをしながら、

向かいに座る男が誰だったのか必死に思い出そうとした。

 ビールとつまみがテーブルに運ばれて来て、

考え事から食べて飲んでに気持ちが支配されて、

もともとの何か良いアイデアをと言う考えも忘れ去ってしまう。

 目の前の男は酔いが回り始めた様子で、少し顔が赤くなりながら、

店内のテレビ画面に見入って、何か言いたそうなそぶりをする。

俺は黙っていたが、俺自身も話し相手が欲しかった。

だからつい話しかけてしまう。

もし相手が酔っ払いの話し上戸だと絡まれると分かっていたのに、

数日間誰とも話をせずに過ごした俺は我慢出来なかった。

「いや、まったく酷いねこの国の首相は」

失言だらけで今話題の首相の文句を言ってみた。

「まったくですよ、要らん事を言うぐらいなら黙っててくれた方がマシなのに」

と目の前の男も文句を言う。
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