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「幸運Ⅱ」-7

 昼過ぎに、今井の会社の近くの交差点で車の運転手を一人眠らせた。

今井に見立てた一人の歩行者に向って走ってくる車。

当然相手の近くに来ればブレーキを踏んで車を停止させる。

だが俺は運転手がブレーキを踏む前に眠りにつかせた。

 車はまっすぐに歩行者の方に突っ込んで行った。

幸いぶつかる手前で車は自動制御で停止した。

最近の車にはこんな機能まであるのかと感心させられるが、

事故が起こらなくて良かった。

 俺は、今井孝彦の運の良さを認めることにした。

俺に付けねらわれて一月ほどまったく無傷で過ごしたのだから、

認めないわけには行かない。

俺は今井孝彦にいよいよ興味を持った。

俺の人を眠らせる能力と、彼のかなりの運の良さが合わされば、

何か革命が起こせるような気がしたからだ。

 週末金曜日の夜、今井が仕事を終えて帰宅してくるのを待ち、

駅前の居酒屋に入る今井の後をつけて居酒屋の店内に入った。

 「今井さんお久しぶりです。五十嵐です。覚えていますか」

店内に居た今井を見つけるといかにも偶然を装って今井の側に近寄り、

週末で混雑している事を良い事にそのまま相席した。

「ああ、五十嵐さん、この間は失礼しました。

何か自慢話ばかりして迷惑だったんじゃないですか」

「いや、そんな事はありませんよ、楽しいお酒でした。

いやあ、またお会いできて嬉しいですよ」
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