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「金持ちになった男」-2

 入金メールは、

給料やボーナスが振り込まれても届く事になっている。

それ以外に利息が入金された時も同様だ。

だから、入金メールが届いたからと言って宝くじに当籤したとは限らないし、

たとえ当籤していたとしても希望する高額当籤を果たしたとは限らない。

 少しのどきどき。

期待感を持ったまま出来るだけ長く生活していたいから、

銀行で金を下ろす必要が生じる時まで、

口座残高の確認をしないで暮らす。

メールが届いてからそんな事を考えた。

 それから数日は、

沢山の期待を胸に忙しい日々が過ぎて行った。

もう限界だと思う日が有った。

上司からいわれのない中傷を受け、

もうこんな会社には居られないと思い、

宝くじが当っていれば直ぐにでも辞めてやると考え、

部下から慰められて思いとどまった。

 給料日が過ぎて、いよいよ手持ちの現金が心もとなくなり、

昼休みを利用して近くのATMに向った。

列に並び順番が来るまでのどきどき、

いざATMの機械を目の前にして、

カードを取り出し機械に差し込み、

暗証番号と今日下ろす金額ボタンと確認ボタンを押して、

機械が現金を数える音に静かに聞き入る。

 やがて現金取り出し口の蓋が開き現金を取り出すと、

カードと共に明細が吐き出されてくる。

明細の薄い紙には預金残高が記載されている。

取り出した紙を見つめながらその場を直ぐに離れる。

並んでいる後ろの人に嫌な思いをさせない為に。

 薄い小さな紙片には、

私が思い描いていた夢の金額が書かれていた。

急いで会社に戻り自分の席に着いて何度も紙片を眺めて、

宝くじ当籤の実感を持てるまでじっとしていた。
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