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「金持ちになった男」-10

 終業時間となり、

幹事を務める田沢君がいち早く会社を後にして、

会場へと向った。

他の人達も部長も三々五々身支度をして会社を後にする。

私も適当に仕事を終えた振りをして帰り支度を済ませ、

会社を後にする。

 忘年会の会場は会社の最寄り駅の近くの焼き鳥屋で、

二階の座敷を借りていた。

私が座敷に入るとすでにメンバーの殆どは

自分の居心地の良い場所を見つけて座っており、

空いている場所は末席か部長の横だけだった。

よい方に受け取れば

上座である部長の隣の席を空けていてくれたと言う事だろうが、

事実は皆座りたがらない部長の隣が自然と空いてしまったと言う事だろう。

だが、今日の私には都合が良かった。

私は迷わず部長の隣の席に陣取り、

新人課長の乾杯の音頭で宴会は始まった。

 私は部長が機嫌よく酔っ払うのを待ってから話を振るつもりで、

暫くは当たり障りの無い世間話をしながら、

部下達に酒をついで回った。

酒をついで回りながら部下達に部長に酒を注ぐように促して回った。

 一通り宴席を回り終わって元の席に戻ると、

部長から少し改まった面持ちで話しかけられた。

「真田課長、もう噂は耳にしていると思うが、来春の人事異動の事だ」

「はあ、噂と言いますと樋山課長が部長に昇格する噂でしょうか」

「そうだ、だがそれだけではなくて、

私が別の部署に異動になりその後を樋山課長が受け継ぐという話だ」

「はあ、やはりその様になりますか」

「うん、まだ確定ではないから他言無用に願いたいが、ほぼ間違いないだろう」

「そうですか」
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