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「金持ちになった男」-11

「それでだ、真田課長。

君に今後の事を頼みたいのだよ、

若い樋山課長にまともに部長としての役目が務まるとはとても思えない。

しかし、子供の頃から帝王学を学んだ人間だろうから

人を扱うすべは心得ていると思う。

問題なのは経験不足だ、

業務の内容そのものはまだまだ分かっていないだろう。

私が別の部署に異動した後業務内容を分かって判断できるのは君しかいない」

「いえ、そう言われましても私なんかではなにも」

「とにかく、来春以降の我が部の業務について、君に頼るしかない。

これはたぶん樋山課長も内心は同じ気持ちだろうと思う。

実は社長から内々に頼まれての話なんだよ。

表立っては来春以降樋山課長が部長として業務を進めるが、

裏では真田課長、君が確りと支えてもらいたい」

「はあ、しかし、常務もおられる事ですし」

「実は、これも秘密中の秘密なのだが、

常務も退社なされるらしい。

だから、この部署では君が一番長いことになる。よろしく頼むよ」

 私としてはとても困った事になってしまった。

私が一番に退職したいのに、部長は異動になるというし、

常務まで退職するというのでは、

いやな人物が上司になったとしてもおいそれと辞めるわけには行かない。

また暫くはこのまま会社に居続ける事になりそうだ。

 たぶん樋山課長が昇格して部長になっても、

直ぐに常務なりに昇格して別の人が部長になるだろう。

それまでの数年、たぶん二年程我慢すればよい事だろうと考えた。


 翌年3月半ばを過ぎた頃人事異動の発表が有った。

私自身はまったく移動が無かったが、

噂通り、忘年会での部長の話し通り、

部長はよその部署に移動になり、樋山課長が部長に昇格した。

そして、頼みの常務は名前が無くなっていた。
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