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「広い家に住む為に」-2

「えっ、でも昔はもっと貧乏だったんでしょう」

「そう、昔はみんな貧乏だった。みんなだ。

一家族だけが貧乏なんじゃなくて、周りみんな貧乏だったさ。

だから、風呂に入ってなくても当たり前だし、食事が一日一食でも当たり前だった。

だから、貧乏でも貧乏人どうしで楽しくやれたものさ」

「はあ、そうなんですか」

「そうだよ、だけど、兄さんの年だと、

周りはみんなそこそこ良い暮らしをしてただろうから、貧乏は辛かっただろう。

何しろ貧乏仲間さえいないんだからな。

まあ、でも最近はまた貧乏な子供が増えてるみたいだな、

食事が給食だけの子供がいるってニュースになったからな。

しかし、ニュースになるって事は、今まではそんな家庭がなかったって事だよな」

 その人の話では、昔はみんな貧乏だった。

だから子供の頃、自分が貧乏だなどとは思わなかったそうだ。

そして、私が子供の頃の時代だと、みんな中流だから、

貧乏が珍しい時代だったから、貧乏な子供は辛くて当然だと言う事だった。

 確かに子供の頃、周りの他の子供達は自転車を乗り回したり、

時たま綺麗な服を着て出かけたりしていたし、

自分専用の部屋を持っている子も多かったし、家に車のある子も多かった。

そして、遊園地に行ったり、旅行に出かけたりした事の無い子は、

私以外いなかった。

周りがみんな適度に裕福だから自分だけが貧乏だから、貧乏は辛いものだったのだ。

 我が家が貧乏なのが、誰の責任でも無いならば、

誰も怨む事はできないし単なる運命とあきらめられたかもしれない。

でも、貧乏なのがうちだけでその理由が父に有るとしたら、

父に怨みを感じても不思議では無いだろう。

二十歳を過ぎたばかりの世間の事を知り始めたばかりの頃の私は、

父を怨んだし、父が無能なのがいけないのだと思った。
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