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「広い家に住む為に」-4

 二十三歳の春会社から人事異動を命じられた。

郊外とはいえ都会から近くて便利な場所だった勤務地から、

ど田舎の山の中の工場勤務を命じられてしまった。

その時の理由は定期的な人事交流的な意味合いの異動だと説明された。

後々それが嘘で、都会近郊の工場を閉鎖する事が目的だったと分かるのだが、

その当時は分からなかった。

 ど田舎への転勤は慣れ親しんだ町との別れでもあり、

飲み歩ける店などなさそうな、ど田舎などへ行きたくない気持ちが強かった。

いやな事を命じられて、会社からの嫌がらせだと感じ、

いじめだと思ってしまった。

そして、田舎の工場への転勤を断わると、本当にいじめが始まった。

 証拠など何もないから、もしかすると被害妄想かもしれないが、

私はいじめられたと思っていた。

実際には工場を田舎に移転する為に、

都会に近い工場での生産を順次減らしていたのだろう。

だから、仕事量が減っても当たり前で、

特に転勤を断わった私からは仕事が減らされたのだろう。

それでも最初は残業がゼロになっただけだった。

しだいに午後から暇になって工場内の清掃ばかりするようになり、

現場仕事がなくなると事務仕事の手伝いをさせられた。

 一年ほど事務手伝いのような状態で、

一日なれない事務所の机に座らされて苦痛だったが、

それにもなれてきた頃、

徐々に朝から工場の周囲の草取りばかりやらされるようになった。

まともな仕事をさせてもらえないから、

私も会社に出勤するのが嫌になり、

なんだかんだと理由をつけて休むようになった。

直ぐに有給が無くなり欠勤扱いとなり、給料が大幅に減額されて、

ついに嫌気が差して退職を決意した。
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