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「広い家に住む為に」-17 

 今夜の宿をどうしたものかと思っていたが、

テント小屋が用意されて寝る場所の無い者は収容してもらえる事になっていた。

 当面の食事と寝床が確保できた事で安堵し、

後は宝くじの当選を待つばかりだと思った。

 二日後の雨の日までは快適に過ごせた。

快適と言っても気候の良い時期だからの話で、

外でごろ寝しても暑くも寒くも無かったから良かっただけの事。

二日後の雨の日には気温も下がりテントの中は湿っぽく、

借りている毛布をかぶれば汗が吹き出るし、

毛布を取れば寒さでふるえ、眠くても眠れない時間が続き、

精神的にも肉体的にもつかれきっているように感じた。

三日目の昼ごろには晴れて気温が上がり、日陰にいても汗が噴出した。

 公園の噴水では水浴びをする者も現れ、何とか風呂に入りたい、

せめてシャワーを浴びたい。

出来れば服も着替えたいと願った。

 願ったのは私だけでなく多くの人が願っていたのだろう。

そして、願っている者の中には、民生委員とつながりをもつ者もいて、

入浴は無理だったが、公立のスポーツ施設のシャワー室を借りられる事になった。

 着替えもある程度用意してもらえて、少し人間らしい気分になることが出来た。

長くホームレス生活を送っている者は今更シャワーでもないようで、

民生委員の世話になったのは私を含めても数名だった。

 シャワーや着替えの世話になった私達は、

さらに仕事を探す世話まで焼いてもらえる事になった。

手続きさえきちんとすれば、住居も生活保護費の支給も受けられるのだと知った。

「久々にシャワーを浴びてすっきりしました」

「良かったですね、それで今後の事なんですが、

まず住まいを決めて、仕事を探すべきだと思いますが」

 そのとき私は、まだ来週には宝くじに当選してお金持ちになっているつもりだったから、

気持ちに余裕があった。

それでも心の奥では外れるかもと言う思いがあったのかもしれない。

だから、まだ真剣に仕事探しをする振りをしていた。

「はい、そうですね。よい仕事が見つかれば、真面目に働きたいと思っています」

そう普通に答えていた。
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