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「広い家に住む為に」-27

 午後のコーヒーを淹れて事務所にいるみんなの席にいつも通りに配ったはずなのに、

「おい、俺のカップと違うぞ。何ボーっとしてんだ」と課長に怒鳴られた。

 本当にぼーっとして間違えたのか、

誰かが摩り替えたのかはっきりしないが、私がいやな思いをした事は確かだ。

 トイレから戻ってくると、

使っていたボールペンが床に転がっていて、靴跡が付いていた。

 湯沸しポットのスイッチが切れていて、お湯が冷めていたせいで、

お茶を入れるのが遅れた。

いやみを言う先輩もいたが、かばってくれる先輩もいた。

どちらが本当の味方なのか良く分からない。

かばう振りをして隙をうかがっているようにも思えた。

「気にするなよ、よくある事さ」と言う言葉とは裏腹に、

顔は少しにやけて見えた。

笑顔で励ましているとも取れるし、ざまを見ろと思っているようにも感じる。

 軽いいじめは続き、会社に居辛くなってしまった。

転職を考え始めて、行政書士の資格が生かせる仕事を探している時に、

運良く政治家の秘書の募集の話が舞い込んできた。

 給料は今の会社と同等か安いくらいなのだが、将来性は感じられた。

その将来性は、自分が将来政治家になるというのもあるけれど、

それ以上に将来自分が事業を起こす時に、

有力政治家の後押しがあればとても有利になると思えた。

 将来事業を起こすといっても具体的なビジョンがあるわけではないが、

例えば独立して行政書士事務所を開設するとしても、

顔の広い政治家の後押しがあれば成功できそうな気がする。

それに、行政書士の仕事内容から考えても、

政治家の秘書はとてもよい修行になると考えた。

 今回は以前のような失敗をしない様に、

政治家秘書の仕事が決まってから、会社を退職するつもりだったから、

面接に向う時点ではまだ会社に秘密にしていた。
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