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「永田町」-4

 午前の授業が終わると、友人の近藤と共に校舎一階の食堂に向った。

いつもは、あと二人、鈴木と田辺を合わせた4人で行動しているのだが、

鈴木は昨夜から親の用事でどこかに出掛けてると言っていて、

今朝も大学には姿を見せていない。

そして、田辺もなぜか朝から姿が見えなかった。

 午前の講義は十二時丁度に終了したから今の時刻は当然昼過ぎで、

二人ともいつものBランチを注文し、

お盆に載せられたBランチを持ってテレビの見やすい席に座った。

ほぼいつも通りの事で、テレビでもいつも通りの昼のバラエティー番組が放送されている。

 四人そろっていると、男ばかりでもそれなりにわいわいと賑やかになるのだが、

今日残された僕と田辺はどちらかといえば無口な二人なので、

食事中も含めてほとんど会話は無い。

 女嫌いの鈴木が居ない今日はチャンスかもしれないと思っていた。

 トモちゃん、彼女の友人達はそう呼んでいた。

苗字も何も分からないが、二ヶ月ほど前からこの食堂で見掛ける様になったから、

たぶん今年入学してきたのだろう。

 たぶん僕の友人達は、気にもしていないだろうと思うのだが、

美人ではないけれど、かわいらしい感じの女の子だ。

 今日もトモちゃんは食堂に居る。

僕は近藤にも悟られないように少し離れているが、

自然な感じで彼女の姿が見られる位置の席を確保していた。

 鈴木の居ない今日しか話しかけるチャンスはないと思っていたのに、

いざとなるとまったく勇気がわいてこない。

 もし縁があるのなら、話しかけるきっかけもいつか訪れるはずと思い、

今日も無理はしない事にした。

 食事を始めて暫らくすると、テレビ画面の上部に緊急ニュースのテロップが流れる。

僕ら二人は、ぼんやりと画面を眺めていた。

「東京都心に隕石だって、ニュース速報で流れるくらいだから、かなりでかいのかな」

と近藤が嬉しそうに話しかけてきた。

「永田町」-3

 女嫌いの鈴木は、大金持ちの息子でも有ったから、

僕達が遊ぶ為の資金は彼から出されるので、ある程度従うしかなかった。

 鈴木が女嫌いになった理由は話してくれた事がない。

しかし、あるとき皇居東御苑の本丸跡を散策していた時に、

大奥跡地を見ながら言った言葉で、何となく理由が分かった気がした。

 鈴木は僕らに、「大奥がなぜ作られたか知っているか」と問い掛けてきた。

僕らが何も答えずにいると少し怒ったように話し始めた。

「男がハーレムを作りたかったわけじゃない、女が浮気性だったからだよ。

将軍は跡継ぎを確実に自分の子供にする為に、大奥を作って女を閉じ込めたんだ」

「本当の話かよ」

「女が浮気性でも男が確実に自分の子供を残せるならば、大奥は必要なかったんだ。

それに、男が浮気性で沢山の女を相手にしたかっただけなら、

最高権力者でもてるはずの将軍に女を集めておく必要なんてなかったはずだろう」

 たぶん彼は恋人に浮気されて裏切られ、裏切った女性を怨み続けているのだろう。

彼の心の傷が癒えるまでは僕らはなかなか女性と付き合えそうにない。

 それにしても、大金持ちの息子で、

見た目もそこそこ良い鈴木が女嫌いと言うのはもったいない。

 男ばかりで街を散策して、軟派もしないなら何をしているのかといえば、

大抵歴史的な場所、史跡めぐりだったり、博物館や美術館回りが多い。

しかし、大学生活も二年目に入ると、都内の美術館博物館はほぼ制覇したし、

すっかり街にも慣れ親しんで、

散策しても目新しいものに出逢う事がなくなって退屈し始めている。

 大学に向いながら今までの生活状況などを振り返ってみて、

僕の生活態度としては、特に人に迷惑をかけている訳ではないのだから、

何も悪くはなさそうだという考えに至りかけていた。

そして、大学の門に到着する頃には、

何か人の役に立つ事をやろうと考えた事も、夢の事もすっかり忘れていた。

「永田町」-2

 あまり頭が良いとは言えない僕は、苦労して何とか東京の大学にもぐり込んだ。

両親は共働きで、一人っ子の僕は大切にされて、

悪い事でなければ、かなりの我がままを聞いてもらえた。

だから、親戚のおじさん達からは、甘やかされているとよく言われたが、

僕としてはそんなつもりは無い。

 東京の大学に合格し、東京で一人暮らしをしたい言うと、

両親そろって悲しいような悔しいような嬉しいような複雑な顔を見せた。

一人息子の独立心を嬉しく思う気持ちと、離れて暮らす寂しさと、

いろいろの思いが混じった表情だったのだろうと思う。

 甘やかされて育ったつもりはないが、

親元を離れて一人暮らしをしたいと言い出す事自体が、甘えなのかもしれない。

でも、両親が共働きだったから、子供の頃から一人で過ごす事が多くて、

一人で何でもこなしていたから、

一人暮らしを始める事への不安や寂しさは少なくて、

むしろ一人で見ていたテレビの中の東京という都会への憧ればかりが強かった。

僕としては都会へ出る事は当たり前の事と思っていた。

 両親は平凡な人達だけど十分な収入があり、僕が大事な一人息子だから、

東京での一人暮らしに十分な金額の仕送りをしてくれる。

 東京で大学生の一人暮らしと言えば、バイト生活だと思っていたが、

十分な仕送りのおかげで、バイトの必要はなかった。

そして、サークル活動などにも興味がなかったから、

大学に入学して直ぐ出来た友達と、都会の街並みを散策して歩いた。

 そんな僕らの事を、軟派ばかりしていると噂する人達もいるみたいだが、

あくまで僕らは街中を散策して歩くだけだった。

 実際友達の一人に女嫌いだと言い張っている男がいて、

街で女性に声をかけるという事を極端に嫌っていたから、

仲間で行動する時に軟派はさせてもらえなかった。

「永田町」-1 

 深夜、夢の中でうごめく者たちに羽交い絞めにされた。

なんとも自分勝手な気持ちを感じ取り、嫌だと思った。

 自分達は悪くないのに、自分達は国のために戦っただけなのに、殺されたと嘆く。

僕の側で涙する者は、ただ悲しいだけなのか、悔しいだけなのか。

怨み辛みを垂れ流す。

 俺達は英霊だと言う者達は、誰かに動かされ操られていた者達だ。

操られていた事に気付かない者達は、自分の意思をどこに置き忘れたのだろう。

それよりも彼らを操った者たちは、いったいどの様な悪魔なのだろう。

 朝目覚めると夢の記憶は断片的でぼんやりとしたものになっていた。

 僕は小さい頃から時々戦争の夢を見る。

戦争で殺されかけたり、死んだ者達に取り囲まれていたり、

経験した事のない戦争を何度も夢の中で体験しているような気がする。

 夢の中で僕はまだ一度も死んだ事が無い。

何度も死に掛けているが死んだ事は無い。

 現実の世界でも、僕はまだ死んだ事が無い。

まあ、たぶん今生きている人はみんな死んだ事など無いだろう。

だから、自分だけは死なないと思っている人も多いと思う。

僕もその一人だ。


 僕は大学まで徒歩で十数分の便利な場所に住んでいる。

もう少し郊外に住めば家賃は安くて済むのだろうが、

逆に交通費が掛かってしまうから、どうせならば便利な場所と思い今のアパートに決めた。

 今朝の夢の中での事を考えると、どうも今の生活態度が宜しくないのではと思う。

だから、亡霊に怨み辛みを言われてしまうのではないかと考え、

何か人の役に立つ事もするべきではないかなどと考えながら、

朝の身支度を終えてアパートを出た。

・地デジ化スタートって、

 祝、デジタル放送スタートって何嘘ついてんだ。

デジタル放送を受信するにはUHFアンテナが必要ですだと、

この嘘つきが。

7月24日はアナログ放送が終了した日であって、

地デジ放送自体に特別な変化は無いはずの日。

テレビ局の表現はいい加減すぎる。

テレビ局が不必要な混乱を生み出して、ニュースを作り出して喜んでいる様にも思える。

 テレビ関係者は自分達をプロと呼び、自分達以外を素人と言って馬鹿にするが、

プロのくせにテレビの事すら理解していない人が多い気がする。

しゃべりのプロと言いながら、言葉の意味を理解していない自称プロの出演者達。

話す事のプロかもしれないが、

話しの内容自体については素人以下の事が多いのだから、

テレビ局に居るはずの専門家がもっと気をつけるべきだろう。

分かっていない事を分かっているように話をするから、

テレビの言う事だからと信用してしまう人が居て、被害に会う事になる。
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