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「永田町」-6

 暫らくは黙々と食事しながらテレビの画面を時々確認していたのだが、

テレビ画面の中で真剣すぎる表情で話すアナウンサーが、

とんでもない事を言い出した。

「やっぱりただの冗談だったみたいだな、

あのアナウンサーも妙に真剣すぎるから、芝居がかってるなって思ったんだ」

と少し勝ち誇ったように近藤に話しかけた。

「確かに。魔王が降臨しました。冗談にしても限度ってものがあるよな」

と近藤も僕の意見に素直に賛成してくれる。

 テレビの画面が現場上空からのヘリの映像に切り替わった。

物珍しい映像に、テレビの前に大勢人が集まったが、

ヘリからの現場映像で身長十数メートルの黒い人型の者が

瓦礫の中心でうごめいている所が映し出されて

「とうとうテレビ局はこんな悪戯までするようになったのか」

「視聴者を馬鹿にしすぎだ」と口々に言いながら、テレビの前を離れて行った。

 特撮怪獣映画などよりも現実味の無い映像だったから、

誰もが安っぽいCGか何かだと思ったみたいだ。

「もう少しましな映像を作れば良いのに」と近藤も言う。

「この程度の冗談ではたいした予算ももらえないだろう」

「スポンサーは何処かな」

「まさか、どこかのCMだと思うのか」

「だって、こんな費用をかけるんだから、大企業がスポンサーにつかなきゃ無理だろう」

「だとして、視聴率は取れても、人気のバラエティー番組の途中なんだから、逆効果だろう」

 テレビの直ぐ側にいたヤツが、急に思いついてチャンネルを変えだした。

どの局でも同じニュースが流れていた。

民放ではない放送協会の教育専門チャンネルまでもが

魔王降臨のニュースを流しているのを見て、

テレビ局の冗談では無いと分かり始めると、再びテレビの前に人が集まり始めた。

「おい、どうやら冗談ではなさそうだぞ」と嬉しそうな近藤。

僕も少し面白くなり始めている。
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