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「永田町」-10

 僕らが逃げ出す前に食堂に姿の無かったトモちゃんが逃げ出せている事を願うが、

逃げ遅れた人が居ても、救助も何も僕らでは役に立ちそうにないと思った。

 燃え盛る校舎の炎は徐々に弱まり始めたが、

逆に校舎の内部から激しく煙が立ち昇り始める。

「こんな状況で、午後の講義が有るはず無いな、どうする近藤」

「午後の講義どころか、当分休校だろう。

それよりも魔王の姿を見たいな、近くまで行かなきゃ無理かな」

「おいおい、こんな状況なんだから、避難した方が良いのじゃないか、

俺は一度家に帰って荷物をまとめるよ。

たぶんもうすぐ避難勧告とか出るんじゃないかな」

「山田は避難するのか、そうか、頑張れよ。

俺はとにかく直に魔王が見たいから、どこか見られる場所を探すよ」

そう言うと近藤はたった今命拾いしたばかりだというのに、

わざわざ危険を冒すように、魔王に近づいて行こうとするから、

僕としては止めるべきだと思うのだが、

止めても無駄な気がしてそのまま見送ってしまった。

 近藤と別れた僕は、とりあえず帰宅する事にした。

こんな状況だから、都心から離れた場所への避難が必要だろうと思うが、

何処に向えば良いのか現状では情報が少なすぎる。

非難するにしても貯金通帳とかの貴重品を持ち出さなければならないから、

いずれにしても一旦帰宅しなければと思った。

 自宅アパートに向う路上には、所々に野次馬の集団がたむろしていた。

燃える校舎の方を指差して話している集団が居たり、

永田町の方向を眺めながら話し込む集団が居たり、

別方向に上がる煙について語る人達もいた。

 永田町の方角を見ると、魔王のせいなのか昼間なのに何か薄暗くなっている。

魔王自体への攻撃とか魔王が自分の周辺へ直接攻撃しないからなのか、

魔王の居る周辺からは炎も煙も上がっていなかった。
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