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「永田町」-24

 僕は展望室の窓際に張り付いたままで、

携帯の画面と窓の外の様子を交互に見比べ続けた。

 三十分足らずで宅配ピザが届いた。

暫らくは特に動きは無い様子だったから一旦窓際を離れ、

鈴木の座るソファーに腰掛けて、それでもワンセグの画面からは目を離さずにいた。

ピザとジュースを手早く平らげて再び窓際に戻ると、テレビの中で動きが出た。

『いよいよ自衛隊の攻撃準備が整った模様です』

『はい、政府関係者からの情報で、首相が自衛隊に対して、攻撃許可を下したそうです』

 ちょっと待てと思った。

「おかしいだろう、攻撃許可の前に攻撃で流れ弾とか飛んできそうな場所は、

立ち入り禁止にして、周辺も住民に避難命令とか出さなきゃ駄目だろう」

と半分独り言、半分鈴木に向って叫んだ。

 鈴木は何食わぬ顔で「どうしてだ」と問い返してきた。

 僕は振り返って鈴木の何食わぬ顔を確認してから、

おかしいのは僕の方なのかと自問した。

 そんなはずは無い、自衛隊の武器が絶対に安全などと言う事はありえない。

少なくとも立ち入り禁止地域を決めて、

尚且つ魔王の反撃も考慮して避難地域を決めてから、

住民の避難が完了してから攻撃を行なうべきだろう。

もう1つ不思議なのは、政府が避難命令を出さなくても、

周辺住民は自主的に避難するだろう。

ところがこの展望室から観る限り、

避難しようとしている人の姿はまったく見当たらない。

もしかして僕だけが情報に遅れていて、

すでに周辺の人達は避難を完了しているのだろうか。

 いろいろ考えてもわからない。

改めて鈴木の顔を見るとやけに落ち着いてのんびりした顔をしている。

『あっ、ただいま自衛隊の戦車部隊が、威嚇射撃を開始した模様です』

 携帯の画面を見るが肝心な場面は映されていなかった。

窓の外、魔王の方角を見ると少し噴煙らしきものがあがるのが見えた。

「攻撃が始まったぞ」と鈴木に向って教えると、

興味なさげに立ち上がって僕のそばへとやって来た。
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