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「永田町」-26

 僕は鈴木に急いで下に下りようと言い無理やり手を引いてエレベーターホールに向かう。

 エレベーターは二基あり一基は地上一階に、

もう一基は最上階の屋上で停止していたから、

下行きのボタンを押すと直ぐに一基のエレベーターが到着した。

「なんだよ、何があるんだ」と言う鈴木の質問を無視して、

到着したエレベーターに乗り込み一階のボタンを押す。

 僕に質問を無視されて鈴木は少しムッとしているが、

僕としては昨日の炎上した校舎の様子が頭に浮かび、

とても答えられる状況になかった。

あまり時間は無いはずだと思った。

ミサイルが展望室を直撃すればエレベーターも停止する可能性があるから、

その前に一階に到着してくれとあせる。

 幸い途中で止められる事無くスムーズに一階へと向う。

 エレベーターが一階に到着して扉が開いた途端に、凄まじい轟音が響き渡った。

直ぐにエレベーターから飛び出すと、

エレベーターの天井に何かが激しくぶつかる音が響き、

エレベーターの照明も階数表示も消えた。

エレベーターホールを出て玄関ホールに向うと、

ガラス張りの玄関ホールの外に、瓦礫やガラスの破片がぱらぱらと降っていた。

外か、或は中から炎が上がる様子を想像して気持ちはあせるが、

直ぐに飛び出すのも危険だ。ぐっと我慢して安全を確認する。

少し待って外に出てマンションを見上げると、

マンションの最上階の窓から黒い煙が噴出していた。

 魔王は僕を狙っているのかもしれないと思ったが、

それは自意識過剰だろうと考えた。

 いくら何でも僕みたいな平凡な人間が魔王に特別に嫌われるとは思えない。

 僕は、マンションの上部を呆然と眺める鈴木と彼の携帯を残して、

その場を後にした。
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