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・願い―3

 三つの願いは昔話でもよくある話で、

たいてい願い事に失敗して終わると言うのが主流のように思うから、

絶対に失敗しない方法を考えなくてはと必死になる。

よくある失敗話は何だろう。

願い事があいまいで思っていたのと違う結果になってしまい、

それを元に戻すために残りの願いを使ってしまうというパターンがあるから、

まず願い事ははっきりと誤解などが無いようにしなければ。

例えば金持ちになりたいと願っても、

百年後に叶うとか金を稼ぐために飲まず食わずで無理やり働かされるとか、

とんでもない落ちがあるかもしれない。

 不老不死を願っても、

代わりに死にたくなるような状況に追い込まれても死ねないとか。

「願いの数を増やすと言うのはできるのか」

考え込んでいるうちについ声に出して訪ねていた。

「それは出来」まで答えを聞いたところでしまったと思い、

「いや、待て」と言って答えを止めた。

「質問に答えるのは願い事に含めるなよ」

と言いながら横倒しになっていた箱を手に取り起こして蓋を閉めようとした。

気が付くと真っ暗な中に閉じ込められていた。

どうやら狭い箱の中に閉じ込められてしまったみたいだった。

「やはりこうなるのか」

箱の外からまるで大男のような話し声が聞こえてきた。

「箱から出るには、誰かに箱を開けてもらわないと出られない。

そして、外に出てから三つの願いをかなえてやると言う事だ。

無事願いを叶え終えると本当に箱の呪いから解放される。

代わりに願いを叶えられたものが箱の呪いで閉じ込められるんだけどね」

箱の外の声はそう告げながら遠ざかって行った。

・願い―2

 そっと手を触れてみる。

金具の部分に親指を当て一気に上に押し上げて蓋を開く。

思った通り鍵はかかっておらず素直に開く蓋に少しがっかりしながら、

中をのぞき込んでみるが、がっかり感そのままに中には何も入っていないようだった。

 訳ありと感じていたのに、

空箱だとわかるとガッカリするだけでなく何か悔しい気分になってしまう。

悔しいから箱をひっくり返して裏側も眺めるが、やはり何もない。

ところが空箱だったはずの箱の口から何か人型のものが転がり出てきたから驚いた。

 手にとれるほどの小さな箱の中から出てきたのだから、

出てきたものが人の形をしていれば人形と思うのが当然なはずなのに、

人形とは思わなかった。

「ふう、やっと出られた。やれやれだ」

 箱の中から出てきた人型の何かはどうやら小人の類のようで、

ちゃんと言葉を発する事もできるのは、

本来ならば不思議で仕方のないことなのになぜかその事には疑問を感じる事なく、

こいつはなぜ出られなかったのだろうと言う疑問を口に出しかけたところで、

その者は突然ぐんぐんと大きくなって行き、

僕より少し大きな小太りの人間の姿になった。

 手品の類でなければ、魔法か心霊現象と言う事になるが、

どうにも手品などとは思えない。

なぜか素直に魔法と思ってしまい、

魔法であれば

魔力で閉じ込められていたと言う事もあるだろうと勝手に納得してしまった。

「さて、とりあえず決まりでもあることだし、

実際助けられたのだから何か礼をするのが礼儀。お前の願いを三つだけ叶えてやろう」

 小箱から出現し小人から人間の男に変身した小太りの、

たぶん魔人は少し偉そうな感じで言った。

 僕としてはただ箱の蓋を開けただけなのに、

何か願い事を叶えてもらえると言うのだから素直に喜んで

願い事をどうするか真剣に考え始めた。

・願い―1

 迷路のような駅の地下街を通勤途中で散歩するのが日課だった。

真っ直ぐに会社に向かえば五分ほどで通り過ぎる地下街を、

ウィンドショッピングしながら歩き回る。

運動不足の解消、健康のための散歩だ。

 いつも歩きなれた地下街は、

朝の早い時間ならば人通りは多いが開いている店は少なくて散歩には不向きだけれど、

少し残業しての帰りには人通りも減って歩きやすく、

飲食店からはよい香りも誘ってきて結構楽しめる。

今日も散歩がてらうろつきながら、漂ってきた焼きたてのパンの香りに誘われて、

明日の朝食にと思い総菜パンを仕入れた。

パン屋を出た少し先に記憶にない路地が目に留まった。

可愛い服装の娘が路地から出て歩き去っていくのを見て、

なんとなく路地の先が気になった。

もしかして若い女性が働いている喫茶店の類があるのかもしれない、

などと想像したからだ。

 路地を曲がるとその先は別の通りにつながっているだけのただの通路のようだったが、

少し進んだところで振り向くと、後ろは行き止まりになっていた。

なぜだろうと思いつつ振り返ると、前方も行き止まりで、

天井の照明があるから明るいものの完全に閉じ込められていた。

 もう一度振り返ると机がありその上には小さな箱が置かれていた。

木製の箱には鍵が掛けられるような金具がついていた。

いかにも訳ありな感じの箱だったから、

何か大切なものが入っていそうで興味をそそられる。

開けてはならないという感じもなかったし、

開けてはいけないものならそもそも鍵が掛けられているだろうから、

開けられるのなら開けても良いのだと思った。

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