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ちょっと物語-10-前半

「個室立ち飲み店」-前半

G氏はK氏に誘われて、駅から程近い立ち飲み屋に立ち寄った。

G氏とK氏は最近飲み屋で知り合ったばかりで、今日も帰り道、駅を出たところで

偶然会ってさそわれたのだ。

最近出来たばかりの店で、中年の大将とか女将さんとかではなく、若い人たちで

運営されていて、若い女性店員が注文を聞きいたり出来上がった料理を運んだりしている。

G氏は焼酎のウーロン茶割り、K氏はビールを飲みながらちょっとした料理を肴に、

会社の上司の愚痴とか、取引先の嫌な相手の愚痴とかを言い合っていた。

「Kさん、うちの会社の上司はね、とにかく口が臭いんですよ、仕事で失敗して怒られるのは

仕方ないとあきらめますがね、息が臭くてまるで拷問ですよ」

「えっ、その上司は息が臭いほど近づいて叱るんですか」

「そうなんですよ、息は臭いけど大声を出すのは恥ずかしいのか、近くで小声でね、

ぐちぐち言うんですよ」

「それはたまりませんね、しかしそれなら言ってやれば良いじゃないですか、口が臭いって」

「まさか、言えませんよ。仮にも上司ですからね、口が臭いなんて言ったら

その時は良くても後でどんな目にあわされるか」

「どんな目にあわされるんです」

「例えば、嫌な現場に優先的に回されたり、経費の申請も難癖つけてなかなか

通してくれなかったり」

「でも、口が臭い事を正直に言うだけですよ、何なら上司からしたら教えてもらえて

感謝すべき事じゃないですか」

「いやいや、うちの上司はそんな出来の良い人間じゃないから、単純に悪口を言われたと思って、

いじめるに決まってます」

「そんなもんですかね、でも上司の困った所は口が臭いだけですか」

「だから、口が臭い上に、人間の器が小さいから、気に入らない事を耳にしたりしたら、

言った人間をいじめるんです」

「Gさんもいじめられた事があるんですか」

「いやいや私はそこは今のところ上手い事やってますから、大丈夫なんですが、

後輩の中にいじめられて辞めたがっているやつもいるんですよ。ただね、

後輩をいじめるだけならそれこそ上の上に言いつければまだ何とかなると思うじゃないですか、

でもあの上司は自分の上の人間には取り入るのが上手いんですよ。

だもんで下の人間が苦情を申し立てても、苦情を言った人間がダメな役立たずだと思われるんです。

あの上司のおかげで、私も出世が止まったまま、給料も下がる一方だし、やってられないです」

G氏は酔いが回ってきたのか、だんだんと舌の回転が早くなってきていた。

店内のお客の数も増えてきて、賑やかになってきたので、ちょうど良いと考えたK氏はG氏を

個室に誘う事にした。

「Gさん、ちょっと店内も賑やかになってゆっくり話も出来ないし、この店には奥に個室が

あるんですよ、その中だと話もしやすいと思いますんで、個室に行きませんか」

「へぇー、個室ですか、珍しいですね立ち飲み屋で個室があるなんて、いいでしょう行きましょう」

酔いが回って舌も良く回る様になったG氏は、もっともっと話がしたかったから喜んで個室に向った。

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