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・願い―1

 迷路のような駅の地下街を通勤途中で散歩するのが日課だった。

真っ直ぐに会社に向かえば五分ほどで通り過ぎる地下街を、

ウィンドショッピングしながら歩き回る。

運動不足の解消、健康のための散歩だ。

 いつも歩きなれた地下街は、

朝の早い時間ならば人通りは多いが開いている店は少なくて散歩には不向きだけれど、

少し残業しての帰りには人通りも減って歩きやすく、

飲食店からはよい香りも誘ってきて結構楽しめる。

今日も散歩がてらうろつきながら、漂ってきた焼きたてのパンの香りに誘われて、

明日の朝食にと思い総菜パンを仕入れた。

パン屋を出た少し先に記憶にない路地が目に留まった。

可愛い服装の娘が路地から出て歩き去っていくのを見て、

なんとなく路地の先が気になった。

もしかして若い女性が働いている喫茶店の類があるのかもしれない、

などと想像したからだ。

 路地を曲がるとその先は別の通りにつながっているだけのただの通路のようだったが、

少し進んだところで振り向くと、後ろは行き止まりになっていた。

なぜだろうと思いつつ振り返ると、前方も行き止まりで、

天井の照明があるから明るいものの完全に閉じ込められていた。

 もう一度振り返ると机がありその上には小さな箱が置かれていた。

木製の箱には鍵が掛けられるような金具がついていた。

いかにも訳ありな感じの箱だったから、

何か大切なものが入っていそうで興味をそそられる。

開けてはならないという感じもなかったし、

開けてはいけないものならそもそも鍵が掛けられているだろうから、

開けられるのなら開けても良いのだと思った。

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