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ちょっと物語-14-前半

「誰のもの」-前半

F氏は、去年まではちゃんとしたアパートで独り暮らしをしていたのだが、不況で会社を首になり、

退職金も僅かしかもらえず、しかも会社が社員の福利厚生をまったく無視した酷い会社だった為、

年金は当然未加入、失業保険にも加入していなかった為、たちまちお金を使い果たして、

年を越す前にホームレス生活になってしまった。

ホームレスもなれればそれなりに生きてはいけるのだが、

半年程度ではまだまだ大変な事ばかりだった。

それでも、河川敷にテント小屋を作り、何とか住む場所を確保するまでになった。

F氏は廃品回収と言っても粗大ゴミとして出されたものを勝手に持ち去るのだが、

回収したものを若干修理したりして、リサイクルショップなどで売れるものは売り、

無理なものは分解して廃材業者に買い取ってもらうなどしていた。

また、気に入った家具などは自分のテントに持ち込んで、使いやすく改造したりして使用していた。

ある日、粗大ごみとして捨てられていた木製の古い小物入れか書類入れのような家具を持ち帰り、

何かに使えないかと引き出しを全て引き出してみたら、なんと10枚まとめて、

封されたままの宝くじが出てきた。

宝くじは去年の秋頃のもので、10枚連番で入っていると言う事は、1枚は必ずあたりがあり、

1枚300円のジャンボ宝くじだから300円は必ず当せんしている。

たぶん持ち主は宝くじを購入して、この引き出しの裏に隠したまま忘れたものだろう、

だとしたら番号の確認もしていないだろうから、300円以外にも当せんしている可能性は

十分にあるはずだ。

F氏は期待半分それでも300円だけは受け取れるからと喜んで宝くじ売り場に持って行った。

「おめでとう御座います。高額当せんです。」

「なんだって、いやいや高額っていくらですか」

「えっと、ちょっと待ってくださいね、4枚があたりで、3枚が高額ですね」

「4枚もあたりですか」

「はい、あっ、この番号1等ですよ、1等と前後賞の3枚で、3億円です」

「さ さ 三億」

「はい、お客さん落ち着いて、いいですか、高額当せんの当せん金は、銀行で受け取ることに

なります、銀行にこのくじと、身分証明書を持っていって下さい」

「身分証明書ですか」

「はい、身分証明書と言いますか、本人確認が出来る書類ですから、

免許証とか健康保険証とかです」

F氏は喜びながらも戸惑った。

身分証明書の類なんて、ホームレスにあるわけが無い、何とか考えなくては。

考えたが、半年以上前に期限切れしているとは言え一応保険証はあったので、

とりあえず保険証を持って銀行に出かけてみた。

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ずんだのブログにご訪問頂きありがとうございます。
宝くじの高額当選なんて夢ですよね
でもずんだは、買ってないのであたりません・・・

kk

どうなることやら ‥‥

後半 ‥

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