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ちょっと物語-10-後半

「個室立ち飲み店」-後半

個室に入るとK氏はさらに、G氏の上司について話をふった。

「Gさんの上司は、そんな事を言っても仕事は出来るんでしょ」

「Kさん、冗談はよして下さい。仕事の出来る上司ならこんなに愚痴りませんよ、

一番の問題は、部下の手柄を横取りする所なんですから。そりゃ上の人間には、

仕事の出来る人間に見えますよ、部下の手柄を自分ひとりの手柄として上に報告するんですから」

「そんな上司どうにかしたいと思いませんか」

「思いますよ、そりゃ、何とかできるものならね。だけど何ともならないから今も愚痴るしか

ないんですよ」

「いやいや、何か方法があるでしょう。私が出来る事があれば協力しますよ」

「Kさんが協力してくれると言ったって、社外の人じゃどうにもならんでしょうに」

「直接は無理でも、いろいろアイデアを提供するとか、道具を用意するとか」

「道具ったって、上司を襲って殺そうって訳じゃないんだから、」

「いや、まあいろいろ考えてみるのもいいんじゃないですか、それにそれだけ愚痴るんですから、

殺したいと思ったこともあるんじゃないですか」

「そりゃない事もないですよ。いろいろねぇ。ありましたから、上司とは。

とは言え殺すなんて事は出来ないけれど、いなくなってくれりゃあ良いと思いますよ」

「でも、殺せるなら殺したい」

「まあ、暴力的なのは嫌ですが、毒殺とか証拠も残さず、相手に手も触れずって言うのなら

考えますね」

「じゃあ、後々証拠の残らない毒が手に入れば使ってみたいですか」

「本当に証拠が残らない毒が手に入れば、やってみたいですね。」

この後G氏はK氏にいろいろと愚痴り、適当に酔いが回ったところで解散した。



翌日、K氏の同僚2名がG氏の元を訪れて、逮捕状を見せて逮捕理由を説明した。

「逮捕状、Gは○月×日、立ち飲み店の個室にて、密かにGの上司を毒殺する計画を立案した。

Gの上司はA国資本の企業で、その幹部社員であるGの上司の殺害計画の立案は、

重大な国際犯罪を密かに計画したものであり、共謀罪とみなし、逮捕します。」

「えっ、共謀罪って、密かにって、立ち飲み屋で飲みながらしゃべっただけですよ」

「はい、個室の立ち飲み店で、関係者以外のいない場所でですよね、

つまり密かに上司の毒殺の話をしましたよね」

そう、個室立ち飲み店とは、犯罪検挙率が下がったN国警察が、検挙率を上げる為に、

大手居酒屋チェーンと結託して開発したものだった。

N国で最近成立した、本来組織的な国際重大犯罪防止を目的として作られた法律の、

曖昧な部分と立ち飲み屋の気安さを利用し、

共謀罪を適用して犯罪者を作り出し検挙する為のワナだった。

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