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「空飛ぶ男」

空を自由に飛びたいな、Bさんはそんな歌詞を口ずさんでいた。

つい先日Bさんは、魔法使いだとなのる美しい女性に出会い、

魔法で何でも願いをかなえてあげる代わりに、

私の願いをひとつきいてほしいと言われた。

見た目がいかにも怪しいお婆さんの魔女だったり、

アラブとか中東の魔人のような姿だったり、

或いは西洋の物語に出てくる悪魔のような姿だったりしたならば、

Bさんのようにいつも退屈している男であっても、きっと無視した方が良いと考えただろう。

男の常として、美しい女性に声をかけられると、たとえ相手が魔女だと名のっても、

無視したりは出来なくなるものだ。

Bさんは当然、美しい女性の姿に惑わされて話を聞いてしまった。

「貴女の願いというのは、何でしょうか、私に出来る事であれば出来るだけの事はしますよ」

Bさんは、初めに魔女が言った条件など頭から消えてしまったようだった。

なので、自分の願いのことはあまり考えていなかった。

美しい女性の姿をした魔女は言った。

「私の願いは、たいした事ではありません。

ただ一晩一緒に過ごしていただけるだけで結構です。」

Bさんは、魔女の言葉をすぐには信じられなかった。

それはそうだろう、人並みの顔かたちだとは思っていても、

実際に女性にもてた事などなかったから、

こんな美しい女性に一緒に過ごしてほしいと言われるなんて、

信じられない出来事だった。

そして、Bさんにとって夢のような一晩が夢のように過ぎ去った。

翌朝、Bさんが気付くと、美しい魔女は姿を消していた。

それから数日間は、何事もなく過ぎたのだが、

今日になってBさんは美しい魔女との一晩を思い出して、

うかれてつい口ずさんでしまったのだった。

「♪空を自由に飛びたいな♪」

すると、突然目の前に美しい魔女が姿を現して言った。

「その願い聞き届けた」

美しかった魔女は、見る見るうちに骨だけの姿になり、

恐ろしげな鎌をBさんに向かい振り下ろした。

恐怖に目をつぶり、暫く何も感じることなく、

意識を失った様になっていたBさんが、意識を取り戻して周囲を見ると、

すでに雲の上だった。

確かに空を自由に飛べるけどと思っても、後の祭りだった。

-END-

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