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「全身に白い衣装をまとった者たちのゲーム」-2/3

社長室から秘書と一緒に出てきたF氏の後をつけて、

F氏の自宅マンションまでやって来たNは、

F氏がマンションに入る所でオートロックの玄関ドアーに滑り込み、

F氏と共にエレベーターに乗り込み、F氏専用フロアーでF氏と共にエレベーターを降りる。

F氏はいつの間にか自宅に入り込んできたNを気にすることなく応接室に入り、

何時もの自分の椅子に腰掛けて、秘書が入れてくれたお茶を飲んで一息ついて、

やっとNの存在に気付いた。

そして秘書の存在にも。

F氏に秘書などいなかったのだが、会社の業績不振で悩みぬいていたF氏には

周りがまるで見えていなかったので、

いつから秘書が居るのかもさっぱり分からなかった。

ただ、自分だって突然社長になったのだから、

彼女が突然秘書になっているという事も普通にあることなのだろうと思った。

そんな状態で秘書がなぜ秘書と分かったかと言えば、

不思議と秘書だと思えてしまったのだった。

秘書は少し不思議がるF氏に安心させるように微笑んでから、Nに向き合った。

Nは見た目も美しい秘書がいるF氏を羨ましく思った。

さらに、業績不振とは言え会社資産は潤沢で1年や2年売り上げ0でも

倒産しそうにない会社なのに社員をリストラしようとするF氏を、

見た目と違ってとんでもない悪党ではないかと思い始めていた。

何しろ自分のような悪党が家に押しかけているのに、

微動だにしないのは余程度胸が座っているか、

自分の様な者など眼中に無いと思われているのかどちらかだろう。

どちらにしても馬鹿にされていると思った。

「社長、私のことを知ってますか」Nは唐突に尋ねた。

質問には秘書が答えた。

「どうでも良い事です。NさんそれよりF社長と勝負してください」

Nは、秘書が自分の名前を知っていた事に少し驚いた、

そして「勝負っていきなりなんだ」と怒鳴った。

秘書は、F氏を落ち着かせるようにF氏に向って軽く微笑んだ後、Nに向かって言った。

「Nさん、そんなに興奮なさらずに、分かっていますよあなたの要望は」

Nは秘書をにらみつける。秘書は動じることなく話を進める。

「勝負して勝てば、あなたが社長になって下さい。

そして、負けた場合はF氏の秘書になって下さい」

「はっ、どういう意味だ、俺に社長だの秘書だの出来るわけが無いだろ」

「いえ、大丈夫です、あなたにはどちらの才能もあります。

勝負に勝てば社長として会社を自由に経営できます。

負けるとF氏の部下として会社を経営する事になります」

「なんだよ、どっちにしろ俺が会社の経営をするのかよ、

だったら勝負なんてやらないで、福社長にでも昇格させれば済む事じゃないか」

「まあ、それでも良いのですが、それだと退屈じゃないですか。

それに、あなたを取締役に昇格させるといずれ会社をのっとって

あなたが社長になってしまいますから、F氏は損するだけです。なので、勝負です」

Nは秘書と話しているうちに、勝負しなければいけないような気がしてきた。

「分かった、勝負するよ、ただし俺が勝てそうだと思えばな」

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