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「長期休暇」-3/3

俺は何をぺらぺらと喋っているのだろう。

夢の中とは言え自分が喋る内容を自分で

まったく意識しないというのはどういうことだろう。

「では、その前々日はどうでしょう、覚えていますか。

平日の金曜日ですからどこかに出掛けてますよね」

「はい、出掛けてます。たしか、金曜日は午前中百貨店で、

午後から近くの遊園地で、夕方は図書館でした」

「誰かに会うとか、何かを買うとかしましたか」

「昼食は百貨店のレストランで食事しました、

あと、遊園地では自販機で缶コーヒーを買いました。

あと、具体的に誰かは秘密ですが、仲間数人と会っています」

「誰にあったかが秘密では、アリバイの確認にならないんだけど、

仲間の方が誰かは教えてもらえないのですか」

「一応、企業秘密ですから」

「そうですか、残念です」

今までのやりとりからすると、俺のアリバイという奴は、まったくないに等しいみたいだ。

こんな状況では、なかなか開放されないだろうと思っていたら、

案外すんなりと開放される事になった。

まあ、夢の中だから何でもありだなって思っているうちに、

意識が遠くなってきた、眠りが深まってきたのだ。



再び、夢の中。

俺は家から出て幹線道路の歩道上を、バス停に向って歩いている。

再び刑事に呼び止められる。

前回の夢の時と違って、ベテランの刑事っぽい人達だ。

刑事が俺の名前を呼び、俺がうなずくと、逮捕状成るものを見せられて、

手錠をされ近づいてきたパトカーに乗せられてしまった。

たぶん前回の夢で、きちんとアリバイを示さなかったのがまずかったのだと思った。

しかし、刑事たちはファミレスで採取した指紋が、事件現場のものと一致したと言う。

俺がどう答えようかと思っていると、また勝手に俺の口が喋り始める。

「そうさ、俺が犯人さ、でも俺を捕まえる事なんかできないさ」

何を言っているんだ俺は、すでに捕まっているじゃないか。

「俺は暫らく休暇をとるだけさ、代わりに親父が刑務所か病院暮らしになるだけさ」

突然目が覚める。目覚めたはずなのに俺はパトカーの中で手錠をはめられている。

なぜだか分からずに呆然とする俺に、刑事が気の毒そうに話しかける。

「君には覚えが無いんだろうね、君は多重人格という病気なのだよ、

今の君に覚えはないのかもしれないが、

君の別の人格が大変な事件を起こしたんだよ」

夢、ではなかったのか、奴は休暇を取ると言いやがった。

奴が休暇中に俺が奴の罪を償うのか、冗談じゃない。

-END-

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