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「ある実験」-1/3

あるビルの一室、人相の悪い男たちが集まって、よからぬ相談をしていた。

「博士、こんな機械で本当に大丈夫なんだろうな」

「今から実験して見せますから、そうあせらないで」

「上手く行かなかったらどうなるか、分かってるだろうな」

「分かってます、お願いしますよ、私だって命は惜しいですから」

「分かっているなら良い。しかし、命が大事なら、うちなんかから借金しなきゃ良いのに」

博士以外の悪い男たちがくすくすと笑う。

「くっくっく。まあ、お手並み拝見と行きますか」

「あの、今回はまだ、実験ですので、その失敗の可能性もありますので、その。

あっ、いえ、本番には必ず成功させますから、とにかくそんなあせらないで、お願いします。

それでは、実験を始めます。」



新聞記者のK氏は、取材の為初めてこのビルにやって来た。

高層の事務所ビルで、1階に総合受付があり、

共有の接客スペースや会議室やホールを有する豪勢な建物だった。

ビル全体を契約している警備会社が警備し、

ビルで働く人にはIDカードが支給されていて自由に出入りできるが、

外来者は受付で訪問先の承諾を得てIDを発行してもらい中に入るか、

共有エリア内の接客スペースで相手と会って要件を済ませる事になっていた。

取材先の闇金には一応取材を申し込み、承諾を得ていた。

闇金ならば、もっと場末の感じの雑居ビルで、

顧客が自由に出入りしやすい場所にありそうなものだが、

闇金としての店舗は別にあるらしく、

ここには本部として現金や重要書類が保管されている事務室と社長室があるらしい。

闇金の社長へのインタビュー記事を書きたいK氏は、

社長のいるこのビルに取材にやって来たのだが、

闇金のイメージと違いすぎる建物に圧倒されていた。

圧倒されはしても、新聞記者としてさまざまな場面を経験しているから、

戸惑う事無く受付に向った。

受付カウンターで、受付の人間に向かい話しかけようとすると、

後ろからやって来た人に突き飛ばされてしまった。

失礼な奴だと思い、文句を言うが無視される。

しかも、周りの人間も、何事も無かったように坦々と動いている。

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