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「ある実験」-2/3

自分を弾き飛ばした、とても体格の良い男を睨みつけても、

文句を言っても何の反応も無いので、思い切って突き飛ばしてやろうと思い、

しかし恐る恐る押してみる。

押された男は、こちらを睨むが目が合わない。

何か不思議なものを見るようなまなざしだ。

仕方なく、男が用件を済ますのを待ち、男が立ち去ってから、受付に話しかける。

しかし、受付の人間はまるで無視していて、返事をしないどころではない。

新聞記者という仕事柄、取材相手から無視されるという事は、

多々有るものの、まったく見えてさえいないような扱いは初めてだ。

カウンターを拳で叩いても、変な顔をされるだけでこちらに興味を示さない。

仕方がないので、直接取材先の闇金に電話してみる。

何度かのコールの後、相手が電話に出る。

「もしもし、毎度新聞のKですが」

「もしもし・・・・・・もしもし・・・・・」

「もしもし、毎度新聞のKですが、今お宅のビルの1階受付に来ているのですが」

「もしもし・・・・・・、何だよ、いたずら電話か・・」

「いえ、もしもし・」「・ぶち」電話は一方的に切られてしまう。

まるでこちらが一切話をしなかったかのように。

K氏は、仕方なくそれならば直接事務所に行くしかないと思い、

警備員がガードしているエレベーターホールに向った。

警備員のそばを通っても、まったく無視される。

エレベーターの上りのボタンを押して、上りのボタンが点灯すると、

警備員が不思議そうに首をかしげる。

しかし、それだけで、K氏は無視したままでK氏の方を見ようともしない。

エレベーターが到着しドアーが開くと、載っていた数名が降り立ち、

やはりK氏には見向きもせずに立ち去っていく。

K氏はエレベーターに乗り込み行き先階のボタンを押す。

たまたま一緒に乗り込む者がいなかったので、

1人っきりでエレベーターは上昇を始める。

途中の階で上行きのエレベーターに乗り込んでくる人はいなかったので、

そのまま目的階まで上り、扉が開く。

エレベーターを降りて、フロアーの案内板で目的の部屋を探し、

闇金事務所の前にたどり着く。

闇金事務所のドアーを開けると、ドアが開いたことに反応して、

こわもての事務員がドアーをにらみつける。

しかし、誰もいないので誰かがいたずらしたのだと思ったこわもての事務員は、

立ち上がるとK氏を無視してドアーに近づき、

ドアの外を見渡し誰もいない事を確認すると、首を傾げつつ自分の席に戻り、

何事もなかったように仕事を続けた。

K氏は、こわもての事務員に声をかけるのだが、完全に無視されて、

いよいよどうしたものかと考えた。

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