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「ある実験」-3/3

きちんとアポを取って取材に来ているのに無視するなんて、

どういう事だという思いだったが、

次第に自分は本当に存在しているのかと不安になり始める。

「貴様何者だ、いつの間に入ってきた」

いきなり、こわもての事務員に怒鳴られる。

驚いたK氏はそれでも気を取り直して、

名刺を差し出し丁寧に身分を説明し用件を話す。

「それでは、こちらでお待ちください」とこわもての事務員に応接室に案内されて、

応接のソファーに座り一息つくと、別の人間が現れて

「申し訳ないが、急遽社長の都合が悪くなってしまいまして、

後日改めてお願いできますか」と、どすの利いた声で、

しかも凄みをきかせた感じて言われ、有無も言わさずという感じで、

事務所から追い出されてしまった。

その後が大変だった、IDカードなしでビルの内部に入り込んでいたK氏は、

警備員から不審者扱いされ、いくら説明しても信じてもらえず、

しかも訪問先だったはずの闇金とも連絡が取れずで、

勤務する新聞社が身元引受人となって、やっと何とか開放される事になった。



こわもてのもの達がたむろして話し合っている。

「どうやら実験は成功みたいだな」

「これで、どんな犯罪を起こそうとも、捕まる事はないって事だ」

「たとえば何に使います、ボス」

「まあ、単純なところで銀行強盗。

ただ、無理やり襲うわけじゃないから強盗にはならないか」

「そうですね、ボス。なにしろ相手に一切気付かれずに進入して、

一切気付かれずに現金を持って出てこられるんですから」

悪い男達の高笑いが響く。

そのとき、博士は機械を軽く操作した。

「あれ、博士と機械は何処に行った」

銃声が数発鳴り響く、さらに事務室にいた事務員が駆けつけるが、

次々に銃で撃たれて倒れて行く。

「さてと、実験が成功したおかげで、私も借金から解放されるし、

逆に大金が手に入る。この機械があれば、どんな種類の犯罪でも完全犯罪に出来る。

なにしろ、目標のものの存在感を完全に消し去れる機械なのだから」

博士は、今一度機械を操作して、事務所を後にした。

自分の存在感を元に戻し、事務所の存在感を消し去ってから。

-END-

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