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「ばけてでてやる」-1/4 

子供たちは、その男の話を聞くために集まっていた。

「神を冒涜した者たちは、それから何度生まれ変わっても、

決して罪を許される事なく、流浪の旅を続けなければならなかった。」

話を聞く子供たちを怖がらせるために、男はちょっとした仕掛けを用意していた。

「それからどうなったの」

子供から話の続きを催促される。

「みんな神の楽園に戻ることなく、地上をさ迷い歩き、しかし徐々に知恵をつけ、

文明を築き街を創り国を創り、繁栄を極めると再び神を冒涜して、戦争を始める」

子供たちの真剣な眼差しに満足しながら、話を続ける。

「だが、人は愚かな者達ばかりではなかった。

やがて救世主が現れ、人々は徐々に救われるようになった。

しかし、それでも神を冒涜する者は時々現れる。

そのようなものが1人でもいれば、昔ならば天罰で大勢の人が罰せられたのだけれど、

救世主のおかげで神を信じ尊ぶ者も増えたから、

罰せられるのは神を冒涜したものだけに絞られるようになった。」

一息ついて、男は子供達に問いかける。

「今、神を冒涜したものはどうなってしまうのか、わかるかい」

子供達は一斉に首を横に振る。

「わかんない」

男はうなずくと話を続けた。

「神を冒涜する者は、死んだ後天国に行く事も、

生まれ変わってやり直すことも許されない。

そして、悪事を働いて死んだものは地獄に行くのだけれど、

そうでないものは、亡霊となってこの世をさまよい続ける事になる」

男はそっと仕掛けのスイッチを入れ、腕を持ち上げて少し先を指差して、

「ほら、あそこにいる人の様にね」と言う。

子供達は、男の指差す方を見て、

そこにぼんやりと映し出された亡霊の姿に驚き、

あるものは立ち上がれずにその場で振るえ、あるものは男のそばに走りよって、

男の後ろに隠れようとし、あるものは別の子供を盾にして身を守ろうとした。

そんな姿を見て、男は満足そうに笑い、おもむろに装置のスイッチを切った。

亡霊の姿が見えなくなると、子供達は落ち着きを取り戻し、

男に質問を浴びせながらも話の続きをせがんだ。



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