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「怨み晴らし屋」-3

T氏が住むこの街に、事務所を借り闇金事務所らしく偽装する。

レンタルオフィスと言うのがあって助かる、

偽装と言いながらほとんど手を加えなくて済む。

決行日を明日に設定し、役者たちと入念にリハーサルを行なう。

すでに、T氏を誘い出す手立ては済んでいる。

明日、T氏が事務所にやって来れば作戦開始だ。

依頼主のU氏は明日この事務所の一室に待機して、

T氏が説教され恐怖する姿を見てもらう手はずになっている。

ところが、決行前になってT氏が何者かにさらわれてしまった。

T氏が逃げ出さないように、私を含む数名で交代で見張っていたのだが、

他にもT氏を狙っている組織があるとまでは考えなかった。

だが、幸いT氏の逃亡を阻止する為に、

T氏の服に盗聴器と発信機を仕掛けておいたので、

居場所だけは見失わずに済んだ。

盗聴器から聞き取れた話をつなぎ合わせると、

T氏をさらった連中は、T氏に貸した金を踏み倒されて、

相当に頭に来ている連中のようだ。

ただの闇金とも違うみたいで、どうやらT氏を裏切り者として、

処刑するつもりらしい。

闇金としては、自己破産して借金から逃げおおせた人がいる事が問題で、

逃げ切れるという噂が広まる事を嫌っているようだ。

彼らにつかまった以上、じたばたせずに、金を返す約束をして素直に、

新たな借用書にサインすれば、命だけは助かるかもしれないが、

T氏はかなり反抗的な態度を取ってしまった。

私はU氏に状況を説明し、

我々が手を下すまでも無くT氏は借金して逃げた事を後悔しているし、

もうすぐ後悔したくても出来なくなる事を告げた。

「これでT氏を脅す必要もなくなりましたし、まあ、成功報酬がもらえないのは残念ですが、

これで終了と言う事で撤退しましょう」

U氏にそう話すと、U氏は私の目を見つめ「T氏を見捨てるのですか」

と尋ねてきた。

「まあ、彼の自業自得ですし、いよいよ危ないとなったら、

無駄だと思いますが、一応匿名で警察に通報しておきますか」

「なぜ、警察への通報が無駄なんです」




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