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「殺し屋」‐4

もう一台の車の後部座席で隠れていた男が起き上がる。

運転席の男が声をかける。

「どうです、怖かったですか」

「当たり前だ、ビルの屋上で銃に撃たれたふりをして、

そのままスーツケースに詰め込まれてくれと言われて、

あーあ血糊で服が台無しだ」

「まあ、その代わり命は助かったじゃないですか」

「本気で海に放り込まれるのかと思ったよ、まったく」

「それ程怨まれるような事をしたからでしょう、

今後この街の周辺には姿を現さないで下さい。

もし彼女に見つかった場合、今度は本当に命が無いですよ」

「分かってるよ、こんな恐ろしい思いは二度としたくないし、

あんな恐ろしい女のそばにも近づきたくないからね」

「しかし、ここまで怨まれるような事、いったい彼女に何をしたんですか」

「何って、何もしてないよ。

あのストーカー女、つきまとわれて迷惑だったから、

きっぱりと言ってやっただけだよ、迷惑だって。

そしたらその日から脅迫文だのなんだのと迷惑行為が始まって。

ストーカーから逃れるには死んだふりが良いって言われて、

芝居にのったけど、本当にこんな怖い思いをさせられるなんて」

「はぁ、大変でしたね」




俺は、車を運転しながら後部座席の2人の会話を聞いていた。

「これでもう、あの男とも二度と会えませんが本当に良かったんですか」

「ええ、この私をふるような男、私に向って迷惑だなんていう男、死んで当然だわ。

私を誰だと思っているのよまったく。

私を馬鹿にしたらどうなるか思い知らせたかったのよ。

ああ、すっきりした」

「まあ、満足いただけたのなら良いんですが」

なんだかちょっと話が違うじゃないか、

自分を振った男を殺させるなんて、

なぜ組織はこんな仕事を引き受けたんだよ。

まあ、しかし別に人を殺したわけではないし、

この女から多額の料金を頂くんだから、

損をするのはこの女だからこれで良いって事かな。

-END-

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感想

面白かったです!
ちょっと、このまま死ぬということは無いかも…
と思っていたら、そんなオチだったとは…

誰も殺さず、ある意味ハッピーエンドであるところが、
いいですね♪

次にも期待です!
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