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「散歩の神様Ⅱ」-2

翌日の昼過ぎ、昼食を済ませていつもの公園に出かけ、

そこから宛先の神社に向った。

昨日と打って変わって曇りの今日は、コート無しでは肌寒い。

寒さをしのぐために早足で歩き、神社に着いて、

御社の前の立て札に書かれている云われを読むと、

そこに書かれている神の名前が手紙の宛名と分かる。

御社の正面に置かれた供物台に手紙を載せて、

「どうか子供の命を助けてください」と祈願して、

寒いからさっさと立ち去ろうとして振り返ると、

そこに古めかしい神主のような格好をしたお年寄りが立っていた。

「手紙を届けてくださったか、ありがとう。何かお礼をせねばならんな」

「いえ、お礼なんてとんでもないです」

マユミは手紙を書き換えた後ろめたさもあり、お礼は断った。

すると神主の格好をしたお年よりは、

「これだけでも受け取るが良い」と言って、

マユミにある物を渡して姿を消した。

マユミに手渡されたもの、それは、

骨髄バンクへのドナー登録の案内書だった。

どういう意味なのか分からずに、会社まで戻り自分の席に着いて、

昼休みが終わる前にと思い、急いで案内書を読んでみる。

そして、何となく意味が分かった気がする。

子供の病は白血病なのだろう。

そして、願をかなえたければ、子供の命を助けたければ、

私が骨髄移植のドナーになって助けなさいと言う、

神のお告げなのだと思った。

その日、眠る時間までいろいろと考えた。

神のお告げだけれど、手紙の内容からして、

自分の身に危険が及ぶのではと迷ったけれど、

優しそうな老人に見えた神が、私を危険な目に遭わせる筈が無いと信じた。

そして、最後にしっかりと決心した。

翌日は土曜日で、仕事はお休みだったので、

自宅から近い献血ルームに出かけて、

ドナー登録を済ませた。

たぶん手紙の中の別の者というのが、

骨髄移植のドナーになる者の事だと思ったし、自分が手紙を拾ったのは、

きっと子供のドナーに適していたからだろうと考えた。

だから、数日かそこらで骨髄バンクから、何かの連絡があるだろうと思っていた。

しかし、一週間、十日、二十日、一月と過ぎて行き、

年末年始の行事もあわただしく過ぎ去っても音沙汰が無い。

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