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「散歩の神様Ⅲ」-2 

マコトは5分ほど歩いたところで、その歩みは徐々に重くなり、速度を落していった。

それでも次の駅までは、普通に歩いても15分程度の距離だから、

残りを少しゆっくり歩いても、10分ほどで到着できる。

あせっても仕方が無いと思いつつも、急いで歩いていると、

幸いにも空いている公衆電話を発見した。

とにかく会社に電話をして、客先と連絡を取ってもらい、対応してもらうように頼んだ。

電話を済ませたことで一息つき、疲れもあり、後はのんびりと散歩気分で歩こうと決め、

線路脇の道を、民家の玄関先の草花などを眺めながら歩いた。

線路際にも所々草木が植えられていて、ちょっと珍しい感じの花が咲いている。

右を眺め見飽きると左を眺め、のんびりと歩いていると、

線路際の路上に手紙が落ちているのを見つけて拾った。

いつもなら、現金でも落ちていない限り、

道に落ちているものなど絶対に拾わないマコトだったが、

なぜかその手紙は気になって拾い上げた。

手紙の封筒の表には、宛名の住所と名前がしっかり書かれていたが、

切手は貼られておらず、裏を見ても差出人の住所氏名は書かれていなかった。

遺失物だから、警察に届けるのが良いと思ったが、

宛名の住所はマコトが知っている場所でもあったので、

ついでのときにでも届けてやろうと思い、上着の内ポケットにしまいこんだ。

次の駅に到着して、電車に乗る前に会社に電話した。

幸いこの駅では公衆電話の台数が多いせいもあって、直ぐに電話を使うことが出来た。

「どうしてもっと早くに連絡しなかったの、お客さんかんかんになって怒ってたわよ、

ちょっと待って、部長に代わるから」

事務の女性から良く無い話を聞かされ、

続いて、部長から、「直ぐにお客さんの会社に行って謝って来い」と怒鳴られた。

言い訳は一切言う暇すら与えられなかった。

自分が携帯電話を忘れてきたのが悪いのだから、仕方が無い。

お客にも部長にもそんな言い訳をしたって意味がないから、

とにかく頭を下げて謝り続けるしかなさそうだ。

それで、仕事が続けられればよいのだが、

厳しい時代少しでも隙を見せれば、他社が入り込んでくる。

今は、とにかくお客さんのところへ謝りに行くことが先決と考えて、出来る限り急いで向った。

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