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「通勤途中にて」-3

せっかく想像をめぐらし始めたのに、車内アナウンスで事故の内容が知らされる。

「○○駅付近の踏み切りで、列車とトラックの衝突事故があり、

衝突したトラックが、送電線の電柱に衝突し、架線が切断された模様です。

復旧にはかなりの時間を要する事が考えられます。

現在対応を検討中です。

申し訳ありませんが、乗客の皆様は今しばらくこのままお待ちください。」

何となく腹立たしい、無責任な感じのアナウンスで、

文句を言い出す乗客が、うるさく騒ぎ始める。

同様のアナウンスがもう一度流れた後、暫くして

「ただいま線路上の安全確認中です。

確認の結果安全と判断されましたら、

係員が誘導して最寄り駅まで徒歩にて向っていただきます。」

と言うアナウンスが流れる。

もう暫く我慢すれば、このギュウギュウ詰めの状態から開放されると分かり、

安堵のため息が聞こえる。

しかしそこからが長かった。

あと少しの辛抱と思ったせいかも知れない。

私は、とにかくこの鉄橋の上を歩く勇気が出るかどうかが心配だった。

車両の前方で誰かがしゃがみこみ、仕方なく座席に座っていた人が席を譲る。

後どれくらいか見当が付かないから、

席に座っている人は、かえって席を譲る気になかなかならないみたいだ。

早くこの狭苦しい空間から脱出したい気持ちと、いざ外に出られるとなったとき、

鉄橋の上に立つ勇気が出なかったらどうしようと言う気持ちの板ばさみに悩み、

いらぬ妄想を膨らませ始めたとき、新たな車内アナウンスが流れ始めた。

「今から一部のドアを開けますので、

乗客の皆様は係員の誘導に従って車外に出てください。

開くドアは前方一箇所のみですが、

あわてず押し合わずに、ゆっくりとお願いいたします。」

たぶん駅から駆けつけてきた係員が少ないため、

一箇所だけから下車させて誘導するのだろう。

そうなると、中ほどの車両、10両編成の6両目だから、

実際に外に出られるのはまだまだ時間が掛かりそうだ。

10分20分と時間が過ぎるにつれて、車内はだいぶ空いてきた。

やっと、窓際により鉄橋の床の様子を見る事が出来た。

人が歩く部分にはしっかりとした鉄板が敷かれていて、

それ以外の部分では確かに下が見えるが、丈夫そうな金網が張られていて、

どうやったって下に落ちる事はできない様になっている。

高所恐怖症の私でも、難なく歩けそうだ。

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