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「希望」-3

私も地球から出て行く必要が無ければ、

この宇宙船に乗って地球が懐かしいなどと考えたりしていなかっただろう。

重力が運動エネルギーと理解されるようになったのは、1000年以上昔のことだが、

運動エネルギーを自在に操作して、人工重力を作り出したり、

宇宙船などの乗り物を直接運動エネルギーで動かす事が出来るようになるまでには、

そこからかなりの年数が必要とされた。

しかし、運動エネルギー=重力を自由に操作できるようになってから、

光速の宇宙船を作り出すのには数年程度しか必要なかった。

光速の宇宙船が出来て、人の行動範囲が飛躍的に広がり、

銀河の端々にまで到達するのは時間の問題だった。

ただ、端々に行った者が戻り、その情報を共有するには、まだかなりの年数を要するだろう。

そんな時代にあって、我々が乗るこの宇宙船は、銀河の端々を超えて、

一気に他の銀河に飛ぶことを考えて創られた。

人類には大昔から冒険家の本能が組み込まれているのだろう。

銀河の端々にはすでに誰かが到達している。

或はもうすでに先人が向っている。

ならば、それよりも遠い所を目指すものが、冒険家と言うものだろう。

私は、そんな冒険家の一人などではなく、ただの逃亡者だ。

逃亡者であって、犯罪者ではないので間違えないで欲しい。

では何から逃亡しているのか。

愛からの逃亡だ。

人類の寿命が1000倍に延びて、代わりに無くなったものが愛だ。

たとえば、親子愛。

子供が生まれて20数年間は、親子愛も残るが、生態年齢で親と子に大差が無くなれば、

まず子供が親を親と意識できなくなる。

親も同じで、子供と同い年なら、子供などほったらかして自由に生きたいと考える。

恋愛にしても、お互いに何十年も変わらずにいれば、飽きてしまう。

その上、寿命が長いと子孫を残そうという本能も弱まるのか、性欲なども弱くなった。

すると、恋愛欲も薄れるのだろう、男女の愛もあまり意味を持たなくなった。

寿命は延びても不死身になった訳ではないから、病気や事件事故で少しずつ亡くなって行く。

私のように歳をとってから寿命が延びた者は徐々に減って行き、

世の中で生態年齢的に年寄りが珍しい存在になる。

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